神戸大学学生広報チーム・活動報告

メンバーが取材した神戸大学の情報をお届けします!

「ありがとう深江丸」イベント開催記念!~船長インタビュー①~

海事科学研究科附属練習船「深江丸」は、学部学生の実習を始め、授業、実験、セミナー、調査・研究、さらには研究会や海事の啓発活動、海事関連企業や団体の研修、近隣の他大学学生への教育提供など、様々な目的や場面でこれまで活躍してきました。そんな深江丸ですが、今年いっぱいで就航以来34年の長い歴史に幕を下ろします。そこで、深江丸のこれまでの功績を称えるために9月24日には「ありがとう深江丸」イベントが開催されます。イベントに先駆けて深江丸の魅力や思い出をゆかりのある方々に伺いました。

★船長インタビュー①

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――どんな経緯で船長に?

 私は1979年の9月に当時4年半制の神戸商船大学商船学部を卒業後、同年10月に当時の運輸省航海訓練所に航海士兼教官として奉職しました。その後、1984年の4月から2年間、神戸商船大学航海計器学研究室の助手として現深江キャンパスに出向していましたが、この頃に新しい深江丸(現在の深江丸)の建造構想があり、船橋の機器配置などの設計に少しタッチしていました。その後、航海訓練所へ戻り、海王丸、大成丸、北斗丸、青雲丸、銀河丸などの大型練習船で二等航海士を経て次席一等航海士として海上勤務を続け、南北太平洋から大西洋・ヨーロッパに至る大海原を舞台に海技士の養成に取り組んでいました。1994年から3年間、高松にある四国運輸局の船員部で海技試験官として船員の国家試験業務に従事していましたが、航海訓練所に戻る直前に深江丸船長としての要請があり、転職して現在に至ります。1997年4月当時、深江丸は国有財産で、文部大臣の“深江丸船長を命ず”の辞令交付からまもなく25年、四半世紀をこの深江丸と歩み、船長として乗組員とともに苦楽を共にしてきました。崇高な“人命”と、船という高価な財産を預かってこれまで様々な場面に臨み、運良く無難にくぐり抜けてきました。都度、そこに新たな発見と交流がありました。台風や大時化に遭遇したときなどの辛い体験は山ほどありますが、嫌になったことはありません。しかし反省は毎度のことです。深江丸船長を拝命し、多くの皆様に支えられながら今日に至ることができましたことを心から感謝しています。これまで安全を第一義に大過なく運航できたことにこの上ない喜びを実感し、それを実現させてくれた深江丸を誇りに思っています。

――深江丸ではどのようなことを?

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 第一は学生の実習と実験です。深江丸はそのための練習船なのです。本学の海事科学研究科は国が定める三級海技士の養成施設ということで、一級から六級まである海技資格の中で、学生レベルでは最上位の三級海技士(航海)または同(機関)のライセンスを取得できます。そして深江丸は海技士養成のための教育設備と教材であると同時に、大学が所有する練習船ですので、その能力や設備を活かした調査・研究活動の他、様々なかたちでの社会貢献や社会との連携活動ももう一つの大きな柱になっています。

――これまで深江丸でどんな航海を?

 通常は、乗船系の学部学生を対象に大阪湾と瀬戸内海で学内船舶実習を2日から4日間の日程で展開しています。内容は低学年の初期導入から高学年のセミプロ実習へとグレードアップしてゆきます。

 実習以外でこれまでに印象深かった航海としましては、着任直後の1997年9月に実施した韓国海洋大学校(釜山)への学術交流航海があります。深江丸は本来、外国往来の航行資格を持たない内航船なので、各種の申請と手続き、免税措置や参加者の選抜等、大きな期待の陰でいろいろと苦慮しました。しかしながら総じて楽しい訪問でした。神戸を出て6日目の韓国航海終了時に関門港の門司において国内往来船に航行資格を戻し、学術交流チームの下船後は引き続き研究航海に移りました。

 次に、1999年7月、当時の神戸商船大学と国立淡路青年の家並びに国立沖縄青年の家の3者が共催した公開講座「アドベンチャー・クルージング:神戸-沖縄9泊10日の旅」があります。沖縄県渡嘉敷島までの往路3泊、渡嘉敷島に1泊の後、那覇で水の補給と現地OBとの交流で1泊、さらに渡嘉敷島へ移動して1泊した後、那覇への半日の寄港を経て復路に3泊を要しました。復路、鹿児島県のトカラ列島に沿って北上中、たしか諏訪之瀬島の東方海域だったと思いますが、12ノット(時速約22km)の全速力で航走する船の周辺に数種類の数え切れないイルカの大群が伴走して戯れ、舳先の水面では豪快にジャンプするなど、小一時間、受講者とともに歓喜したことを覚えています。

 2004年から災害時医療連絡協議会により、大規模災害発生時に海上ルートを活用した船舶利用の検討が始まりました。この災害時医療支援船構想は日本透析医会と連携して、船を緊急医療施設、仮設病院として活用するための検証です。2005年から2008年にかけて神戸をベースに大阪湾一円を活動の舞台として、大阪、和歌山及び徳島において、現地の医師会、消防、警察等と連携した検証が深江丸を用いて行われました。2011年3月11日の14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震では、大阪湾への津波の到来に備えて、安全のため、夕刻に深江キャンパスの専用岸壁を離れ大阪湾北部海域に退避し錨泊しました。事後、日本透析医会と兵庫県透析医会からの要請で東北地方からの人工透析患者とそのご家族を一次収容できる態勢を深江丸に整え、同時に文部科学省からの東北地方への出動待機要請に基づき出動準備を整えつつ、5月の連休明けまで本務と並行して待機状態が続きました。翌年の2012年3月には仙台塩釜港塩竃区を往復する研究航海を実施し、福島県沖の放射線量を含む海洋大気と海流や漂流物観測などを行いました。災害現地へは神戸大学から約2000冊の本を搬送し、災害支援ボランティア派遣の他、現地の子供たちを対象に午前と午後に分けて体験航海を実施し、乗船者全員に昼食のカレーを試食いただき、このとき災害支援として船の給食能力を検証しました。さらに、災害現地の実情に沿って、船からどのようなかたちで、どれくらいの船内発生電力を供給できるかなども検討しています。2016年3月に実施した2回目の東北航海では、深江丸では初めての試みですが、房総半島の南方20kmと57kmの水深1900mと2100mの海底に設置していた海底電位磁力計を回収しています。

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仙台塩釜港塩釜港区貞山ふ頭(2012年3月)

 深江丸のこれまでの活動につきましては、①練習船深江丸の30年の航跡、大学院海事科学研究科紀要第15号(2018年7月)と②練習船深江丸の調査研究活動 -就航後34年間の実績-、大学院海事科学研究科紀要第18号(2021年8月)で詳細に報告しています。

 

船長インタビュー②では、深江丸の研究や新船への思いをお聞きします!ぜひご覧ください!

 

関連リンク

  • 海洋政策科学部

www.ocean.kobe-u.ac.jp

 

記事を担当した学生

「ありがとう深江丸」イベント開催記念!~学生インタビュー~

海事科学研究科附属練習船「深江丸」は、学部学生の実習を始め、授業、実験、セミナー、調査・研究、さらには研究会や海事の啓発活動、海事関連企業や団体の研修、近隣の他大学学生への教育提供など、様々な目的や場面でこれまで活躍してきました。そんな深江丸ですが、今年いっぱいで就航以来34年の長い歴史に幕を下ろします。そこで、深江丸のこれまでの功績を称えるために9月24日には「ありがとう深江丸」イベントが開催されます。イベントに先駆けて深江丸の魅力や思い出をゆかりのある方々に伺いました。

乗船実習で実際に深江丸を操船した小林優さん(海事科学部グローバル輸送科学科4年生)にお話を伺いました。卒業後は航海士としての道を歩む予定の小林さん。学部で学んだことや、深江丸実習の思い出などを語っていただきました。

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――海事科学部を選んだきっかけは?

 高校生の頃に、この学部の存在を知りました。国立の総合大学に所属しながら、航海士というスケールの大きい、夢のある職業を目指せるところが魅力だと思って目指し始めました。

――学部ではどんな勉強を?

 僕が所属しているグローバル輸送科学科の航海マネジメントコースは、船乗りになることを主流としているので、基本的には、航海士になる勉強と、神大生としての教養の勉強です。ただ、同じ学科でも、ロジスティクスコースでは物流についてのスペシャリストを目指しますし、学科が異なると、さらに学ぶことが変わってきます。

――普段の実習はどういう形式で?

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 基本的に、長い実習になるとJMETS(海技教育機構)という独立行政法人練習船に乗せてもらいます。航海士になるには1カ月の実習、2カ月の実習、3か月の実習、卒業後に6カ月の実習を行って、トータルで1年の乗船履歴をつける必要があります。ただ、JMETSの練習船は他の学校の人も相乗りなので、母数が多くて。

逆に、深江丸での実習は30人という少人数単位なので、1人1回は実際に役に就くことができますし、実技で学んでいくのはこっちがメインになると思います。

もちろんどちらの実習も内容自体の方向性は変わらないんですけど、JMETSの方では狭い部屋に6人とかで半年間続くこともあるので、協調性やメンタリティの方向で鍛えられるかなと思いますね。

――深江丸の実習では具体的にどんなことを?

 自分たちで航海計画や、ここのポイントに錨をうって船を止めたいというような投錨計画を考えて、実践に移します。でも実際に動かしてみると、風や潮の影響で計画の通りにいかなかったり、まっすぐ進みたかったのに船が来て進めなくなったりして、そこからどう立て直すかを考えることが多くて…。なかなか思い通りに操船するのは難しかったです。臨機応変に対応できる対応力が問われるんだなと。船の業界って経験がものを言うところがあるので、経験を積むという意味でも実習が大事だと感じました。

――実習を通して得られたことは?

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 深江丸の実習では、深江浜から出て大阪湾に入っていくんですけど、大阪湾って他の船が多いんです。決まりごとも多いですし、練習船は立場が弱いのでよけなきゃいけない制約がある中、船を動かすのは学生が任されるので、本当に難しいなという実感が湧きました。

――新型コロナウイルスの影響はありましたか?

 本来は3泊4日で沖に出る実習が、今年は同じ4日間でも、8時に集合して、船を出して、夕方には帰ってきて解散して、また朝来て、という形式に変わりました。狭い部屋で寝泊まりするので、感染のリスクもあり宿泊の実習ができないんです。JMETSでの実習も、例えば去年の9月は、本来は2カ月の長い実習に行く所を、1カ月間は自宅で座学するという特別処置で、2カ月分の乗船履歴をつけてもらいました。

 でもやっぱり、実際にその機械や実物を見たり、船と出会ってよけたり、実際にやらないとわからないことが多いので、座学では学びきれないことも多いのが本音です。

――航海士になる方は多い?

 代を追うごとに、船乗りになりたいって人は少なくなっています。特に1つ下の学年からは、コロナの影響で船舶実習にあまり行くことができないのもあって、どうしても働くイメージが湧きにくく、目指す人が少ない印象です。船乗りって、外航だと例えば、6カ月家に帰れない代わりに3ヶ月休みがあるみたいな職業で、そういう大変さはもちろんあると思います。ただ、あまり良くないと思われがちな働く環境は結構改善されているので、ぜひいろんな学生に目指してほしいと思います。

――海に出る醍醐味は?

 景色がすごく良いんです!太平洋とかに行くと、都市から出るガスがないので星空がきれいで。水平線も見えるので、あたり一面ずっと水みたいな感じで、スケールが大きくて楽しいです。あと、実習から神戸港に戻って来たとき、神戸の街並みやポートタワーが見えると、帰ってきたなっていう実感が湧きます。海から見てもやっぱりきれいです。

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――将来どういう航海士になりたい?

 最初は、大きな船、巨大な人工物を自分の手で動かしてみたいという憧れがあって目指し始めました。でもいざ学んでみると、大手の外航の船会社だと、日本人船員は船で得た経験や知識を陸に持ち帰って、陸から運航をサポートする仕事も行っています。例えば、船がこれから嵐に遭遇するという状況になった時に指示を出したり、航海機器やエンジンの状況を電波で送って、それらを総合的に判断して対処していったり。自分も、自身で船を動かすだけじゃなくて、そこで得たものを陸で還元することのできる船員になりたいと思いました。

 

関連リンク

  • 海洋政策科学部

www.ocean.kobe-u.ac.jp

 

記事を担当した学生

【取材報告】078KOBEと自動車部がコラボレーション! ー映画『僕と彼女とラリーと』試写会ー

 2017年より、毎年神戸市街で開催している市民参加型フェスティバル・078KOBEが、この8月、映画『僕と彼女とラリーと』を通じて、神戸大学体育会自動車部とのコラボレーションを実施しました。このコラボレーションでは、映画で使用された自動車と本学自動車部所有の自動車展示、ならびに映画『僕と彼女とラリーと』の学生向け試写会が、企画されました。荒天のため、高浜岸壁における自動車展示は残念ながら中止となりましたが、試写会は8月14日にコロナ禍に配慮し、学生・関係者のみのクローズドの形で開催されました。ここでは、078KOBEおよび試写会の模様をお伝えします。

※映画『僕と彼女とラリーと』は、2021年11月に開催される「FIA世界ラリー選手権WRC)第12戦フォーラムエイトラリージャパン2021」の開催地である愛知県豊田市岐阜県恵那市を舞台に、モータースポーツ・ラリーに挑戦する若者の姿を描いた作品で、10月1日に全国公開予定です。

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 映画『僕と彼女とラリーと』試写会は、神戸三宮にある劇場、神戸三宮シアター・エートーにて開催され、本学学生や、本学体育会自動車部、京都大学体育会自動車部など、関西圏の大学自動車部の部員が集まりました。まず、映画『僕と彼女とラリーと』が上映され、その後、塚本連平監督と福嶋更一郎プロデューサーによるトークショーが行われました。映画製作の逸話が明かされた後、作中に登場する自動車や映画に関する質疑応答が行われ、自動車部の学生と製作関係者が交流しました。

 078KOBEおよび試写会について、078KOBE共同実行委員長を務める、神戸大学大学院システム情報学研究科准教授の藤井信忠先生、神戸大学V.School客員教授であり、映画『僕と彼女とラリーと』製作委員会のメンバー、また078KOBE実行委員でもある本丸勝也氏、神戸大学体育会自動車部の榎本拓也さんの3名にお話を聞きました。

 

 まず、藤井先生に、078KOBEについてお話を聞きました。

――078KOBEは、どのようなイベントですか?

 078KOBEは、2017年より始まった「実験都市神戸」をコンセプトにしたイベントです。近年、神戸市は人口減少が進んでいるだけでなく、情報化社会の進展により、産業構造にも変化の兆しが見え始めています。そんな中、神戸をあらたな方向性に発展させたいという思いから、このイベントを始めました。078KOBEでは、音楽、インタラクティブ(IT)、EDU(教育)、食、フィルム(映画)、ファッション、キッズ、アニメといった様々なジャンルのイベントを同時開催し、そこで様々な人々が出会い、イノベーションが生まれることを目指しています。特に、若者を巻き込み、若者の力を神戸の発展につなげたいというねらいがあります。今年度は、「密・蜜・Meet’s -もう一度、会ってくれませんか?-」とテーマに掲げ、コロナ禍における密を避けながら、あまーい蜜のような時間を体験していただく、あらたなイベントのあり方を提案できればと考えています。

――078KOBEは11月にも開催を予定されていますが、そのときも大学生が関わる取り組みはあるのでしょうか?

 11月の開催では、今回のフィルムだけでなく、音楽、インタラクティブ(IT)、食、ファッション、キッズ、アニメ、さらに今年から始まるEDU(教育)のイベント開催も予定しています。078KOBEは若者に参加してもらうイベントであると同時に、若者がボランティアとして企画・運営を担うイベントでもあります。神大生にもぜひ参加していただき、いろいろな人と接してもらえればと思います。

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 次に、本丸氏に、試写会についてお話を聞きました。

――試写会、そして自動車部とのコラボレーションはどのような経緯で決まったのでしょうか?

 私が078KOBEの実行委員会と映画『僕と彼女とラリーと』製作委員会のメンバーであった縁で、078KOBEのフィルム部門にて、映画『僕と彼女とラリーと』の試写会を行うことになりました。「078KOBEは学生をまきこんだイベントにしたい」という思いが発足時からあり、試写会にどのような形なら学生に関わってもらえるかを考えたときに、ラリーを題材にした本作と自動車部の大学生のマッチングを思いつきました。そこで神戸大学体育会自動車部にご協力をお願いしたところ、ご快諾いただき、自動車部と078KOBEのコラボが実現しました。

――試写会を終えて、感想などをお聞かせください。

 この試写会を通じて、078KOBEと神戸大学体育会自動車部のつながりができ、さらに神戸大学体育会自動車部を通じて京都大学体育会自動車部とのつながりができたことで、学生とのつながりの輪が、さらに広がったことをとてもうれしく感じています。また、映画の試写会は、製作関係者向けのものとマスコミ向けのものを行った後に一般客向けに行うのが通念ですが、映画『僕と彼女とラリーと』の試写会は、今回の学生向け試写会が初めてであり、製作関係者やマスコミに向けた試写会よりも先に行いました。これはなかなかチャレンジングなレアなケースであり、機会をいただいた関係者の皆様に感謝しています。

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 最後に、神戸大学体育会自動車部の榎本さんに感想を伺いました。

榎本さん:自動車部の顧問の玉置久先生を通じて078KOBEからの依頼を受け、試写会への参加、ならびに車両展示という形で078KOBEに協力させていただくことになりました。普段からラリー活動や「神大ラリー」というラリーイベントの主催を行っている自動車部の部員として、映画『僕と彼女とラリーと』をきっかけに“ラリー”という競技について多くの人に知ってもらえればと思います。

 

関連リンク

  • 078KOBE

078kobe.jp

  • 『僕と彼女とラリーと』公式サイト

bokukano-rally.com

 

記事を担当した学生

  • 文学部 1年 岡島 智宏

海事博物館「ふね遺産 進徳丸」レポート

 令和3年7月、大学院海事科学研究科の前身である神戸高等商船学校の練習船「進徳丸」が、ふね遺産に認定されました。

 ふね遺産とは、歴史的で学術的・技術的に価値のある船舟類およびその関連設備を「ふね遺産」(Ship Heritage)として認定し、社会に周知し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的とする活動です。この認定制度は日本船舶海洋工学会により2007年から始まりました。

 このたびのふね遺産登録・認定を記念して、また、進徳丸という練習船がこの世に存在したことの証として、神戸大学深江キャンパスにある海事博物館では特別展を開催しています。

 この記事では「ふね遺産 進徳丸」展示の様子をお伝えします。ぜひご覧ください!

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海事博物館入り口前

 ふね遺産第38号(非現存船第8号)に認定された進徳丸は、帆船練習船として約21年、汽船練習船として約16年、計1万人以上の船員を養成しました。その総航程は98万キロメートル(地球約24.5周)にのぼります。船名の「進徳」は、進水の年に発生した関東大震災に際して発布された国民精神作興に関する詔書中にある「知徳併進」の一節からとったもので、海に学ぶ若人たちに対して徳育の必要性を特に強調し、その成果を期待するためだったとされています。

  展示室では実際の船に使用されていた看板や装飾品、模型などを見ることができます。奥のモニターでは、昔の動画や進徳丸船歌が流れています。

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展示室の様子

 日本史上最大のバーカンティン型練習帆船だった進徳丸。その全長は109.10メートル、総トン数は2,518.42トンにもなります。

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進徳丸の模型(100分の1サイズ)

 進徳丸は関東大震災の3ヶ月後(大正12年12月)に進水し、戦禍を経て、昭和42年に神戸商船大学構内に陸上げ、進徳丸保存会により保存されます。その後、阪神・淡路大震災で船体一部が崩壊し修復不能となって終わるという、震災に始まり震災に終わる生涯でした。

 海事博物館では、その波乱に満ちた生涯を数々の展示で時代背景とともに辿ることができます。どなたでも無料でご覧いただけますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

 


海事博物館企画展「ふね遺産 進徳丸」

【開催日時】 2021年7月30日(金)~2022年5月27日(金)

         毎週金曜日 13:30~16:00 (祝日を除く、要事前予約)

         ※ただし、12月23日(木)から2022年1月16日(日)は休館

       9月12日(日)まで緊急事態宣言発令のため臨時休館中です。

【場  所】 神戸大学大学院海事科学研究科 海事博物館

       神戸市東灘区深江南町5丁目1-1

【入 館 料】   無料

【主催者等】

  主 催 : 神戸大学大学院海事科学研究科(海事博物館)

  協 力 : 一般社団法人 海洋会

         同窓会 海神会

 

関連リンク

www.museum.maritime.kobe-u.ac.jp

【取材報告】Hello Vegan!な社会へ、躍進する株式会社ブイクック ~神大生の起業家、工藤柊さんの軌跡~〈後編〉

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 おや、何やら美味しそうなお料理が……?と、ここで問題です。動物性の原料を使わない、ヴィ―ガン対応のお料理はどちらでしょうか?

 正解は、両方ともです!実は、左の黒酢豚も右のハンバーグも「豆」で作られているんです。これらは、2019年春、工藤柊さんが起ち上げた株式会社ブイクック サブスクリプションの冷凍宅配サービス、ブイクックデリのお惣菜を、別途ご飯と一緒に盛り付けたもの。私もいただきましたが、抜群の美味しさで、お肉や卵が使用されていないことを忘れてしまうほどでした。想像を超える豊かな味わいの中に、どこかやさしさが感じられる、そんなお料理です。それでは、早速詳しい事業内容に迫っていきましょう!

 

――会社設立から一年、振り返って感じられたことは?

 色々ありましたね。まず創業してから一週間くらいで緊急事態宣言になったり、オリンピックが延期したり、計画通りにいかないこともありました。ですが一番感じたのは、結局自分の目的は、実際にヴィーガンの生活をしている方や、興味をもって取り組みたいと思っている方が、より簡単に始められて、続けていける環境をつくることなので、そこが変わらなければ、やることは変わっても軸はぶれないということでした。

f:id:KobeU_stu_PRT:20210805154617j:plain もともとはオリンピックの開催に向けて、飲食店や支援事業者へのヴィーガン食材や情報提供を事業にしていこうと考えていたのですが、コロナで外食どころではなくなりました。そこで始めたのが、レシピ本(『世界一簡単なヴィーガンレシピ 今日から始められる料理100品』)の出版です。ここも目的は一緒で、家で作る機会が増えたならレシピを求めている人も増えると思い、レシピ本を出版しました。そこから色々な人に話を聞いてく中で、レシピがあっても作る時間がないという話をたくさん聞きました。そこから、お弁当を作るのが大変な時に持っていけるものや、時間がない時に温めるだけで食べられるものを作ろうと思って、ヴィーガン惣菜のサブスクのサービス(ブイクックデリ)の開発に至りました。

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 よく言われることですが、何を求められているのかを考えて、それを解決できるサービスやプロダクトを作るのが大事だと感じました。

 悔しかったことは沢山ありましたが、一番は一緒に働きたいと思った人と働けないことです。というのも、一年目でまだ融資も出資も受けておらず、全部自己資金で売上を立てて回していたので、人を誘えるほどの余裕がなかったんです。だから、入ってほしいと思う人がいても、気軽に声をかけられなかったですし、一緒に働きたいと言ってくれてもお断りしないといけないのが悔しかったですね。

 ただ、ずっと一人で運営するのも限界がありますし、沢山仲間がいた方が良いサービスになっていくと思います。3月中旬にtalikiという会社と二人の個人の投資家の方に支援していただき、改めて融資でお金を借りて、4月に初めて社員が増えました。融資も活用して仲間を増やし、さらにブイクックデリを広めていくことに注力していきたいと思います。

――事業のノウハウはどのように習得されましたか?

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 まさにやりながら身に付けています。就労経験がないまま会社を創設したので、正しい方法や他の会社の方法についてあまり分かっていない状態でした。だから、まず何をするか決めて、そこから勉強をしますね。例えば、レシピの投稿サイト(ブイクック)は、自分がヴィーガン生活を始めるときに、いろいろなレシピがあったらいいと思っていたので、それを提供できるサービスを開発しました。まずデザインやプログラム開発といった必要なものを考えて、その実現に向けて方法をネットで調べたり、先達に聞いたりしながら進めていますね。運営していくためには売上が必要になるので、ビジネスモデルを作る際には、他の同業者さんの例を参考にしました。

――当事者同士が集える機会はありますか?

 僕が最初にヴィーガンの人に会ったのは、大阪の小さいヴィーガン料理のフェスイベントでした。そのようなイベントが各地で調べてみると結構あります。あとは僕が2019年に神戸で起ち上げたNPO法人日本ヴィ―ガンコミュニティ)の中で、東京中心にはなりますが、ヴィーガン対応のホットドッグを食べるVegan Hotdog Nightや、タピオカが流行ったときは、牛乳ではなくアーモンドミルクや豆乳で、容器もガラスのものを使ってサステナブルなタピオカを飲むSustainable Tapioca Partyといったイベントを作っていました。

 最近はコロナの影響で直接集う機会は少ないですが、Zoomを活用した交流会やイベントを開催しました。交流会は毎回10人くらい、イベントには170人くらいが参加してくれました。

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――伝えたいこと

 僕の活動は、大学の食堂に新しいヴィーガンメニューを提案するところから始まりました。ヴィーガンメニューが野菜炒めくらいしかない状況から、最初はアンケートを取ったり、レシピを開発して提案したり、地道に始めました。それから、ヴィーガン認証を行っているNPOヴィーガン商品を扱っている企業に協力してもらって、食堂のマネージャーの方と話し合いながら進めました。そして、期間限定で唐揚げや餃子、肉味噌うどんなどを提供するに至りました。

 他にも大学の中でやったことは沢山あります。大学、そして神戸にはいろいろな人がいるので、人との繋がりを上手く活用してほしいと思います。

 まとめると、大学はやろうと思えば色んなことができる環境だと思うので、まずは自分のできる範囲から始めてみてください。それに大学も協力してくれると思うので、ぜひ先輩や先生、職員など周りの人を頼って挑戦してほしいです。僕もまだ在籍中なので、一緒に頑張りたいです。

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――工藤さん、ありがとうございました!

 最後は“Vegan”から名付けられた、ブイクックのVで記念撮影です。ちなみに、イベント事業(Green Rabbits Club)では、若者に人気のテーマや、音楽や装飾による雰囲気作りを工夫してイベントを開催されているとのことでした(イベント実績)。また、『世界一簡単なヴィーガンレシピ』は増刷され、電子書籍版も出版されました。他にも、メニューの開発等、驚く速さで事業を展開されています。

 まずは自分が一番前を走ると決意し、「誰もがヴィ―ガンを選択できる社会」「楽しく続けられる世界」を目指す工藤さん。今後ますますのご活躍を期待しましょう!

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関連リンク

  • 前編の記事はこちら

kobeu-stu-prt.hatenablog.com

  • 株式会社ブイクック

www.vcook.co.jp

  • ブログ:そうはいっても工藤さん

kudoshu07.com

  • ブイクックの記事一覧:ブイクックプラス

vcook.jp

【取材報告】Hello Vegan!な社会へ、躍進する株式会社ブイクック ~神大生の起業家、工藤柊さんの軌跡~〈前編〉

 

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  皆さん、動物たちの命を守りながら自然と持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献でき、健康にも良いという取り組みをご存知ですか?それは、動物性の食物の代わりに植物性の食物を選択する、つまり「Vegan(ヴィ―ガン)」を日常に取り入れることなんです。ヴィーガンとは、完全菜食主義を実践するライフスタイルや実践する人のこと。「やさしい人が笑って生きられる社会をつくりたい」そんな思いを事業に発展させ、日本初のヴィ―ガンレシピ投稿サイトのリリース、ヴィーガンレシピ本の出版、ヴィーガン惣菜の冷凍宅配など、ご活躍されているのが、株式会社ブイクックのCEO兼デザイナー、工藤柊さんです。工藤さんとヴィ―ガンについて詳しくは、こんにちは、工藤柊(くどうしゅう)です。自己紹介します。をご覧ください。それではインタビュー内容をどうぞ!

 

――進学しようと思ったきっかけは何でしたか?

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 将来先生になりたいと思っていたので、以前から関心を抱いていた環境問題について勉強しながら教員免許も取れる、国際人間科学部環境共生学科に進学しました。

――どのような勉強をされましたか?

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 一年目は基礎の授業を受けて、二年生から、関心のあった心理学や社会学を学びました。これから勉強したいのは環境経済学です。主に環境問題に関する授業を受けていて、中学や高校の頃は問題の部分しか聞くことがなかったんですけど、それを実際にどう解決していくのかまで勉強しました。今まで僕が考えていたのは、一人ひとりの市民の意識変化や行動の変容による社会課題の解決だったのですが、国単位の仕組みとしても、取り組みがあることに気づけました。

――学んだことが現在の活動につながっていることはありますか?

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 環境問題を解決する知識を付けたいと思って大学に通っていたので、「これが習ったことか」という経験はあります。例えば、今は事業者としてヴィーガン総菜の冷凍宅配(ブイクックデリ )を行っていますが、容器を環境負荷の少ない、紙にしています。プラスチック容器の燃焼時のCO₂排出量や、使用量を減らすために紙容器を使用しているのですが、紙はプラスチックに比べて高く、種類が少ないです。ですので、環境負荷が高いから違う方法を使うといっても、選択肢の少なさやコスト的なハードルの高さを感じました。学校では、「問題があるから解決する」という考えを習ってきましたが、それをいざ事業者の立場として考えると、環境問題以外のことも考えないといけない。例えば、原価をある程度抑える、利益を上げて給料を払うということを考えたときに、まだまだ環境負荷の低減と利便性はトレードオフだと感じました。だから実際に起業してみて、事業を行う上で大変なことをビジネスセクターとして感じることができました。その経験をもって改めて勉強し直したいという気持ちはむしろ強まりましたね。

 紙の種類が少ないのは、需要が少ないからだと思っています。安くて色々な種類があるという利便性を求めると、プラスチックになりますが、それでは今の環境問題につながってしまいます。ですので、今がプラスチックから紙への過渡期だからこそ、5年、10年経ったときに、紙でも色々な種類があって、コストの面でもある程度安くなっているように、まずは自分たちから消費していこうと思っています。

――日本でヴィーガンであることの生きづらさは、どのようなところにありますか?

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 大きくは三つ、自炊するとき・外食するとき・人間関係というところです。

 自炊でいうと、最初に何を作ったら良いか分からないということがあります。僕が始めた頃は、今まで卵とかお肉とか食べてきたけれど、いきなりそれがなくなると考えたら、何が食べられるのかという状態に僕はなったんです。そのときに、レシピ情報や、ぱっと時短で作れる食品や商品がないというのが、課題だと思います。

 外食に関しては、対応しているメニューの少なさです。最近ではヴィーガンバーガーがバーガーチェーンで販売されていたり、稀に大豆ミートがスーパーに置いていたりするのですが、それでもまだ、普通にお店に入ってヴィーガンのものは置いていないです。逆に僕が行ったことのあるヨーロッパ、ドイツやイギリスの都市部では、カフェのメニューにヴィーガンのマークが入っていて、ヴィーガン対応のメニューが置いてあるというのがむしろ一般的なので、外食のときのやりにくさはまだ日本にはあると思います。

 あとは人間関係ですね。色々なパターンがありますが、まず認知が進んでいません。若い方に関しては、周りに実践しているが人いるとか、留学先で会ったとかいう話はよく聞きますが、上の世代になればなるほど少なくなってきます。あるサラリーマンの40代の方は、動物倫理からヴィーガンを始められたのですが、職場では理解してもらえないからと言わないようにしているそうです。また、主婦の方がヴィーガン始めたいと思って、家族に伝えても全然理解されずに辛い思いをするというのが、割と珍しい話ではないんですよね。そういう意味でまだまだ認知度や理解度は高くないです。そこを上げていかないと、環境が整ったとしても、偏見が残っていれば始める人は減ってしまうし、続けられる人も多くならないだろうなと。ですので、情報発信も取り組んでいきたいなと思います。

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――今後の目標について

 事業の目標としては、「Hello Vegan!な社会を食卓から。 」というのをミッションに掲げています。Hello Veganな社会というのは、誰もがヴィーガンを選択できる、始めたいと思ったら始められる社会です。そのような環境を作っていくために、ヴィーガンレシピの情報の蓄積と発信(ブイクック)や、惣菜を冷凍で宅配するブイクックデリを行っていて、まずはこれらのユーザー数・会員数をしっかり増やしていくのを目標にしています。ただ、外食や人間関係の問題もあるので、その辺りも僕たちにできることは取り組んでいき、ヴィーガンの人たちが暮らしやすく、今はヴィーガンではないけれどこれから実践していきたいという方が、気軽に始められる環境を作るのを目標に頑張ろうと思っています。

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――ありがとうございました!

後編では、気になる詳しい事業内容についてご紹介します。ぜひそちらも併せてお楽しみください!

 

 

関連リンク

  • 後編の記事はこちら

kobeu-stu-prt.hatenablog.com

  • 株式会社ブイクック

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  • ブログ:そうはいっても工藤さん

kudoshu07.com

  • ブイクックの記事一覧:ブイクックプラス

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夏休み☆受験生応援企画!~学生広報チーム1年生×難関国公立大学合格専門塾 志信館塾長・堀内さん~

いよいよ夏休みですね!受験生にとって「勝負の夏」とも言われる夏休みに、学生広報チームから特別対談企画をお届けします。

ゲストにお越しいただいたのは、志信館で塾長を務める堀内さんです。工学部のOBで、神戸大学を目指す高校生を応援したい!と、この対談に参加してくださいました。

学生広報チームからは1年生が2名、実践していた勉強法や神戸大学の問題の特徴などをお話しします!ぜひご覧ください!

 


プロフィール

堀内 祥次 大阪府立桜塚高校→神戸大学工学部OB。追い込み型。逆転合格。
岡島 智宏 三重県上野高校神戸大学文学部1年。コツコツ型。
村上 優佳 福島県立福島高校→神戸大学国際人間科学部子ども教育学科1年。バランス型。

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勉強法について

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堀内:さっそくですが、二人が受験勉強で大事にしていたことは?

岡島:きちんと睡眠をとることです。周りが夜遅くまでやっていると、「自分も遅くまでしないと」という気持ちになってしまいがちですが、惑わされずに自分に合った生活リズムを守ることを意識していました。

村上:○○大学に合格するという目標を決めたら、共通テストと二次試験が何点で合格できるのかを調べて、それと現状を比較して計画を立てました。また、1日勉強した後に、前日よりもわからない部分が減って、自分が成長しているかどうかをチェックしていました。

堀内:自分がどれだけ成長したかを確認するのはすごく大事ですね。それができないと「あれだけ勉強したのに伸びてない」っていう状況になったり、わからない部分をそのままにして突き進んだりしてしまうんです。モチベーションを維持するためにも、成長の実感が必要になります。
具体的なアドバイスとしては、夏休みの間にわからないこと・苦手なことを整理したら、ノートなどにまとめて書いておくこと。そして寝る前にノートを見て、今日できるようになったことを自覚してから次に進むのが良いと思います。

村上:私は数学がとにかく苦手で、問題を解く以前に、問題を理解することからできていませんでした。そこで、まずは基本的な定義を昔の人はどうして作ったのかとか、この公式はどう展開されてできたのかなどを調べました。そうすることで問題が理解しやすくなって、結果にもつながったので、数学が苦手な人は一度試してみてほしいです。

堀内:周りに影響されすぎずに、自分の身の丈に合った勉強法や参考書を選ぶのが大事ですね。

神戸大学の問題の特徴

堀内:神戸大学の問題の特徴として、難問や奇問はほとんどなくて、標準的な問題が多いです。配点に極端な偏りがあるわけではなく、幅広い教養がある人を求めているんじゃないかと僕は考えます。二人は実際にどうでしたか?

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岡島:国語の現代文が長いと感じました。読む力はかなり必要になるかと思いますが、論理的に考えて読めれば問題ないと思います。夏までは記述を頑張って、共通テストの勉強は秋からでも間に合います。記述は、大事なことは抽象から具体に言い換えたり、難しい言葉を使うのではなく本文の表現をつないだりして、徐々にテクニックを身に着けていきました。数学もだいたい毎年同じ傾向なので、対策しやすいと思います。

村上:私は後期受験でしたが、小論文に志望動機を書く問題がありました。事前に学部や学科のホームページを見て、アドミッションポリシーや学部の理念などを知っておくと良いと思います。モチベーションのアップにもなります!

モチベーションのあげ方

堀内:モチベーションの話が出たけど、二人はモチベーションが下がったときはどうしてた?

岡島:気が向かなくても、とりあえず机に向かってみる。塾や学校などに行けば誰かがいて頑張っているので、その姿を見て頑張ろうと思いました。でも今考えると、もう少し自分なりの方法があったらよかったと思います。

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村上:時間を決めて好きなアニメや本などを読んでいました。例えばアニメは17時から、本は9時30分からなどルーティーンを決めることで、ちょうど良い気分転換になります。アニメはYouTubeだとついつい他のも見てしまうので、30分で終わるやつを録画してテレビで見るよう工夫しました。

堀内:私がお勧めするモチベーションアップの方法は、自分が合格した姿を明確にイメージする事。受験で大事なのは、何としても神戸大学に絶対合格したい!不合格なんてあり得ない!と強く思う事。その為に、合格発表のシーンをカラーで見えるくらいにリアルに想像する。周りの家族が喜んでくれて、先生に報告して喜んでくれて、と想像することです。ちょっと前向きになりませんか。

受験生にメッセージ

岡島:英語も国語も数学も共通して、論理的に考えて書くことがコツです。自信のない難しい言葉を使うのでなく、自分がわかる言葉で書くこと。また、勉強法などはあまりネットに頼りすぎずに、困ったら自分のことをよく知っている学校の先生や塾の人などに聞くことをおすすめします。

村上:試験の形式が変わろうが、マーク式・記述式だろうが、目先の問題形式に必要以上に惑わされる必要はありません。基本的な学力が身に着いていれば、何が出ても対応できるはずです。それを意識して、自分のレベルに合わせて一歩ずつ進めていたら、あとは時間配分とかだけを意識すれば対応できるので、常日ごろ自分が何をできて何ができないかを意識して、頑張ってください。

堀内:今年はオリンピックイヤーで、見ている方も多いのではないでしょうか。オリンピックで人の頑張っている姿を見たら感動しますよね。受験は自分の百年に一度のオリンピックだと思って、自分が感動するくらい頑張ってほしいです。そして自分の頑張りは、学校の先生や周りの人に感動を与えられると思います。
百年に一度のオリンピックは今年!そんな心構えで、最後まで頑張ってください。

 

いかがでしたか?
この記事が、受験生のみなさんに少しでも参考になれば嬉しいです!
読んでいただきありがとうございました。

 


〈堀内祥次〉

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2004年神大工学部卒。新卒で株式会社ウィルに入社。
2014年から新規事業で立ち上げた学習塾「志信館」の塾長に。

7・8年に1人ほどしか神大合格者が出ない高校を卒業。
受験当時、進路指導の先生には私立大学を勧められていた。周りも次々と私立大学を目指す。
そんな中、堀内の背中を押してくれたのは担任の先生だけだった。
「堀内なら絶対に合格できる」
彼女は、ミュンヘンオリンピックに出場したこともある、バレーボールの元日本代表選手。
あのとき挑戦できたのは、信じてくれた先生がいたから。
だからこそ今、生徒にも意志を持って果敢に目標に挑み、「挑戦するからこそ成長する」人生を送ってほしいと思う。塾生の合格を信じ、全力で応援している。

 

 

 

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