神戸大学学生広報チーム・活動報告

メンバーが取材した神戸大学の情報をお届けします!

【取材報告】Hello Vegan!な社会へ、躍進する株式会社ブイクック ~神大生の起業家、工藤柊さんの軌跡~〈前編〉

 

f:id:KobeU_stu_PRT:20210727112836j:plain

  皆さん、動物たちの命を守りながら自然と持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献でき、健康にも良いという取り組みをご存知ですか?それは、動物性の食物の代わりに植物性の食物を選択する、つまり「Vegan(ヴィ―ガン)」を日常に取り入れることなんです。ヴィーガンとは、完全菜食主義を実践するライフスタイルや実践する人のこと。「やさしい人が笑って生きられる社会をつくりたい」そんな思いを事業に発展させ、日本初のヴィ―ガンレシピ投稿サイトのリリース、ヴィーガンレシピ本の出版、ヴィーガン惣菜の冷凍宅配など、ご活躍されているのが、株式会社ブイクックのCEO兼デザイナー、工藤柊さんです。工藤さんとヴィ―ガンについて詳しくは、こんにちは、工藤柊(くどうしゅう)です。自己紹介します。をご覧ください。それではインタビュー内容をどうぞ!

 

――進学しようと思ったきっかけは何でしたか?

f:id:KobeU_stu_PRT:20210823142558j:plain

 将来先生になりたいと思っていたので、以前から関心を抱いていた環境問題について勉強しながら教員免許も取れる、国際人間科学部環境共生学科に進学しました。

――どのような勉強をされましたか?

f:id:KobeU_stu_PRT:20210823142936j:plain

 一年目は基礎の授業を受けて、二年生から、関心のあった心理学や社会学を学びました。これから勉強したいのは環境経済学です。主に環境問題に関する授業を受けていて、中学や高校の頃は問題の部分しか聞くことがなかったんですけど、それを実際にどう解決していくのかまで勉強しました。今まで僕が考えていたのは、一人ひとりの市民の意識変化や行動の変容による社会課題の解決だったのですが、国単位の仕組みとしても、取り組みがあることに気づけました。

――学んだことが現在の活動につながっていることはありますか?

f:id:KobeU_stu_PRT:20210727113230j:plain

 環境問題を解決する知識を付けたいと思って大学に通っていたので、「これが習ったことか」という経験はあります。例えば、今は事業者としてヴィーガン総菜の冷凍宅配(ブイクックデリ )を行っていますが、容器を環境負荷の少ない、紙にしています。プラスチック容器の燃焼時のCO₂排出量や、使用量を減らすために紙容器を使用しているのですが、紙はプラスチックに比べて高く、種類が少ないです。ですので、環境負荷が高いから違う方法を使うといっても、選択肢の少なさやコスト的なハードルの高さを感じました。学校では、「問題があるから解決する」という考えを習ってきましたが、それをいざ事業者の立場として考えると、環境問題以外のことも考えないといけない。例えば、原価をある程度抑える、利益を上げて給料を払うということを考えたときに、まだまだ環境負荷の低減と利便性はトレードオフだと感じました。だから実際に起業してみて、事業を行う上で大変なことをビジネスセクターとして感じることができました。その経験をもって改めて勉強し直したいという気持ちはむしろ強まりましたね。

 紙の種類が少ないのは、需要が少ないからだと思っています。安くて色々な種類があるという利便性を求めると、プラスチックになりますが、それでは今の環境問題につながってしまいます。ですので、今がプラスチックから紙への過渡期だからこそ、5年、10年経ったときに、紙でも色々な種類があって、コストの面でもある程度安くなっているように、まずは自分たちから消費していこうと思っています。

――日本でヴィーガンであることの生きづらさは、どのようなところにありますか?

f:id:KobeU_stu_PRT:20210823143245j:plain

 大きくは三つ、自炊するとき・外食するとき・人間関係というところです。

 自炊でいうと、最初に何を作ったら良いか分からないということがあります。僕が始めた頃は、今まで卵とかお肉とか食べてきたけれど、いきなりそれがなくなると考えたら、何が食べられるのかという状態に僕はなったんです。そのときに、レシピ情報や、ぱっと時短で作れる食品や商品がないというのが、課題だと思います。

 外食に関しては、対応しているメニューの少なさです。最近ではヴィーガンバーガーがバーガーチェーンで販売されていたり、稀に大豆ミートがスーパーに置いていたりするのですが、それでもまだ、普通にお店に入ってヴィーガンのものは置いていないです。逆に僕が行ったことのあるヨーロッパ、ドイツやイギリスの都市部では、カフェのメニューにヴィーガンのマークが入っていて、ヴィーガン対応のメニューが置いてあるというのがむしろ一般的なので、外食のときのやりにくさはまだ日本にはあると思います。

 あとは人間関係ですね。色々なパターンがありますが、まず認知が進んでいません。若い方に関しては、周りに実践しているが人いるとか、留学先で会ったとかいう話はよく聞きますが、上の世代になればなるほど少なくなってきます。あるサラリーマンの40代の方は、動物倫理からヴィーガンを始められたのですが、職場では理解してもらえないからと言わないようにしているそうです。また、主婦の方がヴィーガン始めたいと思って、家族に伝えても全然理解されずに辛い思いをするというのが、割と珍しい話ではないんですよね。そういう意味でまだまだ認知度や理解度は高くないです。そこを上げていかないと、環境が整ったとしても、偏見が残っていれば始める人は減ってしまうし、続けられる人も多くならないだろうなと。ですので、情報発信も取り組んでいきたいなと思います。

f:id:KobeU_stu_PRT:20210727113759j:plain

――今後の目標について

 事業の目標としては、「Hello Vegan!な社会を食卓から。 」というのをミッションに掲げています。Hello Veganな社会というのは、誰もがヴィーガンを選択できる、始めたいと思ったら始められる社会です。そのような環境を作っていくために、ヴィーガンレシピの情報の蓄積と発信(ブイクック)や、惣菜を冷凍で宅配するブイクックデリを行っていて、まずはこれらのユーザー数・会員数をしっかり増やしていくのを目標にしています。ただ、外食や人間関係の問題もあるので、その辺りも僕たちにできることは取り組んでいき、ヴィーガンの人たちが暮らしやすく、今はヴィーガンではないけれどこれから実践していきたいという方が、気軽に始められる環境を作るのを目標に頑張ろうと思っています。

f:id:KobeU_stu_PRT:20210727113934j:plain

――ありがとうございました!

後編では、気になる詳しい事業内容についてご紹介します。ぜひそちらも併せてお楽しみください!

 

 

関連リンク

  • 後編の記事はこちら

kobeu-stu-prt.hatenablog.com

  • 株式会社ブイクック

www.vcook.co.jp

  • ブログ:そうはいっても工藤さん

kudoshu07.com

  • ブイクックの記事一覧:ブイクックプラス

vcook.jp