神戸大学学生広報チーム・活動報告

メンバーが取材した神戸大学の情報をお届けします!

【キラリ☆神大団体】神大をより魅力的に!『みんなの神大実現プロジェクト』

 2022年9月、「神戸大学における多様な性・ジェンダーに関する基本方針とガイドライン」が制定され、「神戸大学における学生の通称名等の使用に関する要項」が施行されました。

 そんな中、LGBTQIA+を含めた誰もが過ごしやすい大学を目指して、精力的に活動する団体「みんなの神大実現プロジェクト」の伊東さん、神田さん、久保さん(以下、敬称略)に取材しました。

団体SNSに投稿された写真

――まず、「みんなの神大実現プロジェクト」の活動内容を教えてください。

久保:「みんなの神大実現プロジェクト」は、神戸大学を、LGBTQIA+を含めた誰もが学びやすく、働きやすく、過ごしやすい大学にするための活動をしています。たとえば、大学の先生や部署・団体に対して要望書や改善案を出したり、イベントに出展したり、学生のニーズや他大学での実施例を調査したりしています。また、ポスターを掲示したり、報道系団体に取材してもらったりもしています。このような活動を通して制度や教職員・学生の意識を変えることを目指しています。

 最近だと、通称名を全学規則として認めてもらうための活動に力をいれていました。

 また、1月に開催された神戸大学ビジネスプランコンテストに有志で出場し、ソーシャル部門で優勝させていただきました。

――優勝されたのですね、おめでとうございます。コンテストでは、どのような内容をお話しされたのでしょうか?

神田:「現代版学生自治会」という、今の活動のプラットフォームをサイトにして事業化していくプランを提案しました。サイトに、たとえば「学費が高い」とか「生理用品を無償で配布してほしい」といった困りごとを書きこんでもらい、コメント・いいね機能で学生間の交流を促します。必要があれば、運営メンバーや投稿者が大学に掛けあったり解決法を調べたりして、その結果を共有し、情報を蓄積するということを提案しました。

久保:学生ひとりの活動だと、その人が卒業したら活動がそこで止まってしまうことがあるので、情報や資料を残していくことが大事だと思っています。また、サークルのメンバーだけでなく他の学生とも共有すれば、いろいろな視点や情報が集まって、成し遂げられることも増えるので、もっといい大学になるのではないかと思います。

神田:この活動が審査員の方に評価されて嬉しかったです。企業の役員の方々の前で話すのはすごく緊張しました(笑)。

youtu.be

――団体設立のきっかけについて教えてください。

久保:神戸大学に限った話ではないですが、大学に対して不満や要望があっても、それを言う手段や、誰に言ったらいいかわからないという学生は多いと思います。でも、私は学生と大学が一緒になって取り組めたら、もっと魅力的な大学にできるのにもったいないと感じていました。そのときに、ちょうど学生からの要望であった通称名の使用が許可されたこともあり、団体として活動を始めてみようと思いました。

 大学の方からも、ダイバーシティに取り組みたいけど、学生がどんなことに困っているのかわからないという話を聞いたので、お互いにコミュニケーションをとって取り組みを進めたいと思ったのも団体設立のきっかけです。

――お二人が参加したきっかけについても教えてください。

神田:大学院の研究室が同じ久保さんに誘われて、参加しました。私は学部生のときは違う大学に通っていて、自分が直接困ったことや要望はなかったのですが、人と話したり、自分について考えたりしていく中で、大学と距離があると感じていました。たとえば女性蔑視なことを含む発言をされたときに、頼るべきところが分からないとか。そんな思いをもちながら神戸大学に来た時に、久保さんから誘われました。草の根の力も信じていたので、学生から声をあげて大きいものに立ち向かうというのがいいな、と思って参加しました。

 活動に参加してみて、「声をあげれば変えられる」という経験や、「自分のもやもやを共有できる」という経験ができて、楽しいです。

伊東:私はキャンパスに貼られたポスターを見て参加しました。高校で生徒会に入っていて、ジェンダーレス制服の導入をしようとしたのですが、うまくいきませんでした。でも、大学では、この団体に入って少しずつでも自分が言えば変えられることがある、という経験ができてうれしいです。

久保:きっかけさえあったら、参加してくれるというポテンシャルはあるのかなと思いました。そして実際に何かを変えることができたら、自分達の力を実感できて楽しいですよね。

――活動を通じて、変化を感じたことはありますか。

久保:通称名を使えるようになったのは大きかったですし、実際変化したことも多いと思います。保護者の方など学外から持ち込まれる相談もあり、期待もされていると感じています。

――今後の取り組みや展望について教えてください。

久保:今後は「神戸大学における多様な性・ジェンダーに関する基本方針とガイドライン」の内容を深めていきたいと思っています。たとえば、通学証明書の性別欄について、他大学では廃止になった例もありますし、JRなど公共交通機関に聞き取りを行っても問題がないという回答を得ています。せっかくポリシーやガイドラインがあっても、活用することがないと権利が根付かないと思うので、それを基にみんなが過ごしやすい大学に変えていきたいです。また、異性愛前提の発言や女性蔑視、といった文化を変えていくことも必要だと思っています。

伊東:個人的には、今後はセクシャルマイノリティの問題だけではなく、生理用品の配布などもできたらいいな、と思っています。他大学で、生理用品を女子トイレに導入した例もあるので、進めていけたらと考えています。

www.kobe-u.ac.jp

――最後にコメントを頂ければ幸いです。

久保:メディアに出なければならないわけではないですし、興味があったら是非体験に来てください。誰に言ったらうまくいくのか、どこで働きかけたらいいのか、関心を持ってもらうための企画を考えるなど、戦略的な思考が養える団体でもあります。大学自体がダイバーシティを推進していこうという姿勢があるので、私たちの活動もうまくかみ合っていると思います。

伊東:みんなが大学で過ごしやすくなるように、ちょっとずついろいろなことが変えられていると思います。

神田:活動していて、「自分は、困っていないし」と言われることが多いですが、それは特別なことだと思います。大学には、それぞれいろいろな背景を持っていて、困っている人がたくさんいて、また、それを言えない人もたくさんいると思います。困りごとを他人事と思っている人でも、問題を抱えている学生がいる、ということに気づくきっかけになれたら嬉しいです。

 

○取材をした人のコメント

少しずつでも自分が言えば変えられることがある、という経験は貴重なものだと思いました。神戸大をもっと魅力的にするために自分にもできることを考えてみようと思います。(法2・寺岡)