おや、何やら美味しそうなお料理が……?と、ここで問題です。動物性の原料を使わない、ヴィ―ガン対応のお料理はどちらでしょうか?
正解は、両方ともです!実は、左の黒酢豚も右のハンバーグも「豆」で作られているんです。これらは、2019年春、工藤柊さんが起ち上げた株式会社ブイクック のサブスクリプションの冷凍宅配サービス、ブイクックデリのお惣菜を、別途ご飯と一緒に盛り付けたもの。私もいただきましたが、抜群の美味しさで、お肉や卵が使用されていないことを忘れてしまうほどでした。想像を超える豊かな味わいの中に、どこかやさしさが感じられる、そんなお料理です。それでは、早速詳しい事業内容に迫っていきましょう!
――会社設立から一年、振り返って感じられたことは?
色々ありましたね。まず創業してから一週間くらいで緊急事態宣言になったり、オリンピックが延期したり、計画通りにいかないこともありました。ですが一番感じたのは、結局自分の目的は、実際にヴィーガンの生活をしている方や、興味をもって取り組みたいと思っている方が、より簡単に始められて、続けていける環境をつくることなので、そこが変わらなければ、やることは変わっても軸はぶれないということでした。
もともとはオリンピックの開催に向けて、飲食店や支援事業者へのヴィーガン食材や情報提供を事業にしていこうと考えていたのですが、コロナで外食どころではなくなりました。そこで始めたのが、レシピ本(『世界一簡単なヴィーガンレシピ 今日から始められる料理100品』)の出版です。ここも目的は一緒で、家で作る機会が増えたならレシピを求めている人も増えると思い、レシピ本を出版しました。そこから色々な人に話を聞いてく中で、レシピがあっても作る時間がないという話をたくさん聞きました。そこから、お弁当を作るのが大変な時に持っていけるものや、時間がない時に温めるだけで食べられるものを作ろうと思って、ヴィーガン惣菜のサブスクのサービス(ブイクックデリ)の開発に至りました。
よく言われることですが、何を求められているのかを考えて、それを解決できるサービスやプロダクトを作るのが大事だと感じました。
悔しかったことは沢山ありましたが、一番は一緒に働きたいと思った人と働けないことです。というのも、一年目でまだ融資も出資も受けておらず、全部自己資金で売上を立てて回していたので、人を誘えるほどの余裕がなかったんです。だから、入ってほしいと思う人がいても、気軽に声をかけられなかったですし、一緒に働きたいと言ってくれてもお断りしないといけないのが悔しかったですね。
ただ、ずっと一人で運営するのも限界がありますし、沢山仲間がいた方が良いサービスになっていくと思います。3月中旬にtalikiという会社と二人の個人の投資家の方に支援していただき、改めて融資でお金を借りて、4月に初めて社員が増えました。融資も活用して仲間を増やし、さらにブイクックデリを広めていくことに注力していきたいと思います。
――事業のノウハウはどのように習得されましたか?
まさにやりながら身に付けています。就労経験がないまま会社を創設したので、正しい方法や他の会社の方法についてあまり分かっていない状態でした。だから、まず何をするか決めて、そこから勉強をしますね。例えば、レシピの投稿サイト(ブイクック)は、自分がヴィーガン生活を始めるときに、いろいろなレシピがあったらいいと思っていたので、それを提供できるサービスを開発しました。まずデザインやプログラム開発といった必要なものを考えて、その実現に向けて方法をネットで調べたり、先達に聞いたりしながら進めていますね。運営していくためには売上が必要になるので、ビジネスモデルを作る際には、他の同業者さんの例を参考にしました。
――当事者同士が集える機会はありますか?
僕が最初にヴィーガンの人に会ったのは、大阪の小さいヴィーガン料理のフェスイベントでした。そのようなイベントが各地で調べてみると結構あります。あとは僕が2019年に神戸で起ち上げたNPO法人(日本ヴィ―ガンコミュニティ)の中で、東京中心にはなりますが、ヴィーガン対応のホットドッグを食べるVegan Hotdog Nightや、タピオカが流行ったときは、牛乳ではなくアーモンドミルクや豆乳で、容器もガラスのものを使ってサステナブルなタピオカを飲むSustainable Tapioca Partyといったイベントを作っていました。
最近はコロナの影響で直接集う機会は少ないですが、Zoomを活用した交流会やイベントを開催しました。交流会は毎回10人くらい、イベントには170人くらいが参加してくれました。
――伝えたいこと
僕の活動は、大学の食堂に新しいヴィーガンメニューを提案するところから始まりました。ヴィーガンメニューが野菜炒めくらいしかない状況から、最初はアンケートを取ったり、レシピを開発して提案したり、地道に始めました。それから、ヴィーガン認証を行っているNPOやヴィーガン商品を扱っている企業に協力してもらって、食堂のマネージャーの方と話し合いながら進めました。そして、期間限定で唐揚げや餃子、肉味噌うどんなどを提供するに至りました。
他にも大学の中でやったことは沢山あります。大学、そして神戸にはいろいろな人がいるので、人との繋がりを上手く活用してほしいと思います。
まとめると、大学はやろうと思えば色んなことができる環境だと思うので、まずは自分のできる範囲から始めてみてください。それに大学も協力してくれると思うので、ぜひ先輩や先生、職員など周りの人を頼って挑戦してほしいです。僕もまだ在籍中なので、一緒に頑張りたいです。
――工藤さん、ありがとうございました!
最後は“Vegan”から名付けられた、ブイクックのVで記念撮影です。ちなみに、イベント事業(Green Rabbits Club)では、若者に人気のテーマや、音楽や装飾による雰囲気作りを工夫してイベントを開催されているとのことでした(イベント実績)。また、『世界一簡単なヴィーガンレシピ』は増刷され、電子書籍版も出版されました。他にも、メニューの開発等、驚く速さで事業を展開されています。
まずは自分が一番前を走ると決意し、「誰もがヴィ―ガンを選択できる社会」「楽しく続けられる世界」を目指す工藤さん。今後ますますのご活躍を期待しましょう!
関連リンク
- 前編の記事はこちら
- 株式会社ブイクック
- ブログ:そうはいっても工藤さん
-
ブイクックの記事一覧:ブイクックプラス