神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】神戸大学交響楽団第68回定期演奏会〜ステージと観客席から〜

12月23日(日)、兵庫県立芸術文化センターにて、「神戸大学交響楽団第68回定期演奏会」が開催されました。今回は当日の様子だけではなく、団員の方にもお話を聞き、演奏する側にとっての定期演奏会交響楽団についても取材させていただきました。定期演奏会を通して見えた、交響楽団の活動と団員の皆さんの想いをお伝えします。

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演奏会当日、筆者とカメラマンは開演の5時間ほど前に会場に到着し、事前取材でもご協力いただいた交響楽団広報チーフ・内海壮一朗さん(工学部3年)を再び訪ね、最終リハーサルを見学させていただきました。

今回演奏する3曲について、指揮者と演奏者との間で活発にやりとりが行われ、客席での音の聞こえ方や楽器パートごとの音量などを納得のいくまで調整し、準備を整えていきます。ただ単に先生からの指導を受けるのではなく、学生指揮者からの指示や助言、団員からの意見を出し合いながら何度もやり直している様子からは、演奏会を団員全員で作り上げようという考えや、楽曲・演奏会への熱意が伺えました。

最後には団長・副団長が団員に向けて言葉を送る場面もあり、団長の林更紗さん(発達科学部4年)の、「お客様のためにと演奏してきた機会も多かったと思いますが、今日は、最後くらいは自分たちのためにも演奏しましょう」という言葉はとても印象的でした。

リハーサル終了からしばらくすると、会場のロビーに人混みができ始め、大きな拍手の音が響くと、ロビーコンサートが始まりました。拍手と視線の向かう先には楽器を携えた演奏者の姿があり、木管・弦楽器のグループの演奏、次いで金管楽器のグループの演奏が行われました。途中で団員扮するサンタクロースが登場するといった楽しい演出もあり、観客の皆さんが楽しそうに耳を澄ませているのは心温まる光景でした。

ロビーコンサートが終了すると、大ホールにて、いよいよ演奏会の開演です。筆者はあまり音楽に詳しくはないのですが、素人として個人的に言うならば、すべての楽曲について、聴く前に持っていたイメージと全く異なる部分があり、次から次へと響いてくるメロディーの新鮮さが楽しく、つい聴き入ってしまうような演奏でした。パンフレットに記載されている説明を踏まえた上で耳を傾ければより興味深いものになると思われましたが、クラシック音楽は聞き慣れない人にでも十分に楽しめるものであり、知識がなくとも心躍らせるようなものなのかもしれないと、演奏を聴いていて少し気が楽になりました。また、見た目にもステージ上の団員の皆さんはとても生き生きとしていて、こちらも明るい気分になるなど、月並みな表現になってしまいますが、本当に元気をもらえるような演奏でした。


演奏会が大喝采で幕を閉じた後、団員の方にインタビューをすることができました。まずは、歌劇「魔笛」序曲で学生指揮を務めた藤岡陽太郎さん(文学部4年)にお話をお聞きしました。

――—指揮者をやろうと思ったきっかけや、実際に楽団を指揮するようになってご自身に起きた変化などがあれば、教えてください。

藤岡さん:指揮者をやろうと思ったのは、高校の吹奏楽部で不完全燃焼だった過去があり、大学では団の中心となってがんばりたい!と思ったことがきっかけです。あと小学生の時に見たドラマ「のだめカンタービレ」の指揮者・千秋くんのかっこよさにも憧れました。演じられていた玉木宏さんには遠く及びませんが…。
実際に指揮をするのはやはり難しいものです。楽団全体を強力に引っ張れるようなカリスマ性は私にはないので、できるだけ団員と同じ目線に立ってものごとを考えるように気をつけていたつもりです。結果的にずいぶん「丸い」性格になったと思っています。

――—今回の演奏会で指揮をして感じたことを教えてください。

藤岡さん:本番は緊張でほとんど記憶がないのですが、とにかく楽しかったです。《魔笛》は難しい曲でした。音符を並べられる(=技術的に弾ける)ようになってからも、その先の神大オケらしさをどう出すのか、どのように演奏したいのか、どうすれば楽しめるのか…というところにすごく時間がかかりました。客演指揮者・新田ユリ先生のアドバイスにも助けられて演奏も向上し、直前期になってようやく形になりました。奏者の目も輝くようになり、みんなで演奏を楽しみながら本番まで走りきれたと思います。

――—今回の演奏会で卒団ということですが、4年間活動されてきて、後輩に受け継いで欲しい交響楽団の魅力は何だと思いますか?

藤岡さん:多様な個性が神大オケの魅力だと思います。100人を超える団員が、その人数だけの個性を持っています。オーケストラの基本はハーモニー・調和ですが、それは個性を潰し均質化することではありません。むしろ、ひとつとして同じ形のないピースを集めて丁寧に組み立て、大きなパズルを完成させるようなものです。いまの神大オケにはきっとそんな雰囲気があると思いますし、これからは客席で、多様な個性の織りなすハーモニーを楽しみたいです。

 

続いて、1年生の中から、吹上響悠さん(経済学部)、木村瑞希さん(法学部)、田上絢萌さん(文学部)の3名にお話を伺いました。

――—今年1年を振り返ってみて、交響楽団での活動はご自身にとってどのようなものでしたか?

吹上さん:すべてのことが初めてづくしで大変ではありましたが、いろいろな面で成長することのできた1年だったと思います。

木村さん:これまで吹奏楽しかしたことがなく、交響楽団での活動は新鮮なものばかりでした。わからないことも多く不安もありましたが、その度に先輩にたくさんのことを教えていただき成長につなげることができました。

田上さん:多くの刺激を受け、たくさん成長することができた、充実していて楽しい1年でした。

――—3年後、4年生の時点ではどのような自分でありたいですか?

吹上さん:自分のそれまでの努力に少しは自信をもって演奏できるようになって、先輩方のように、「最後くらいは自分のためにも演奏しましょう」と言えるくらいになりたいです。

木村さん:今回、演奏を終えた時には私自身としてもすごく達成感がありましたが、先輩方のやりきった顔もとても印象に残っています。私も3年後には演奏後あんな風に晴れやかな顔ができたらいいなと思いました。

田上さん:3年後には、演奏会の全曲目の演奏に参加して、バイオリンパートを支えられるような存在になることができればと思います。

――—まだ入団して過ごした期間は短いかもしれませんが、皆さんが現時点で感じる、交響楽団の魅力とはどのようなものですか?

吹上さん:言葉だけではどうしても伝えられないものの表現と向き合うことは、とても楽しいです。演奏会にはお客様がいらっしゃるので、クオリティを上げるための努力をしなければなりません。この努力をする中での考え方など、自分一人では発見できないことを見出せたり、成長できたりする機会に多く恵まれているところが魅力だと思います。

木村さん:まだ入団して1年も経っていませんが、本番であれだけたくさんのお客様に聞いていただけるのも先輩方が築いてきた非常に長い歴史があるからだと思います。そんな伝統の一部になって大勢の仲間とともに1つのものを作り上げる達成感を味わえるのは交響楽団に入って感じた魅力の1つだと考えています。

田上さん:先輩の面倒見がよく、団員の仲がいいです。また、ルールもきちっと決まっているので秩序正しく、面倒なことがあまりありません。そして何よりも皆音楽に対して情熱を持っています。入って頑張っていたら、ますます音楽にのめりこめること間違いなしです。

――—ありがとうございました。


今回は取材を通して、交響楽団の魅力の一端を、いくつかの視点から見ることができました。団員の皆さんにお話を聞き、今後の活躍もとても楽しみになりました。新しく入学する学生にとっても、課外活動を選ぶ際に参考になるのではないかと思います。

交響楽団やその演奏会が、今後どのような変化・成長を遂げるのか。演奏会に足を運んで、ぜひ確かめていただければと思います。あるいは1年生の方は実際に入団してみるというのも、一つの手かもしれません。

関連リンク

取材を担当した学生

  • インタビュー:文学部3年 小林 優奈
  • カメラ:発達科学部4年 船越 茉莉