神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】神戸大学吹奏楽部第54回定期演奏会~『輪』でつなぐ伝統の音~

 12月4日(土)、神戸文化ホールにて、「神戸大学応援団総部吹奏楽部第54回定期演奏会」が開催されました。今回は本番の様子だけではなく、部員の方にもお話を聞き、演奏する側から見た演奏会について、また、開催にあたっての思いについて取材させていただきました。演奏会の裏にあった、部員のみなさんの想いをお伝えします。

 今回、本番前の準備に忙しい中で取材に応じてくださったのは、部長の土屋祥仁さん(工学部機械工学科・3回生)です。

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――吹奏楽部の取り組みについて、どういった事に重点を置いて練習しましたか?

 「輪翔」をテーマに掲げて一年間練習してきました。「輪唱」にもちょっとかけてるんですけど、「輪」っていう字には『みんなで一緒になって』、『一致団結して』、「翔」という字には『前に進む』という意味があるので、「コロナに負けずに一致団結して、前へ前へと進んでいく部活にしたい」という気持ちが込められています。

――コロナ禍で活動にも多くの障害があったと思うのですが、どういうことが特に大変でしたか?

 一番大変だったのは練習場所の確保ですね。学内の使える施設がコロナで限られているうえ、音を出して練習できる場所って近隣にもあまりないんです。他の練習場所を見つけて、重たい楽器とかも自分たちで車を出して運搬しないといけなかったのが、しんどかったですね。

――お客さんに安全で素晴らしい演奏会を提供するため、どのような対策や工夫を行っていますか?

 電子チケットを導入しました。HPなどから事前予約という形で申し込んでもらい、購入していただいたお客様の身元がわかっている状態でお越しいただくようにしました。電子チケットは昨年、身内だけの演奏会で試験的に導入していたもので、今年はそれを一般のお客様にも本格的に実施させていただいた感じです。

 座席の距離、アルコール消毒などの基本的なところも手を抜かず、お客様の安全をきちんと管理出来るように取り組みました。

――今日の演目へは、どんな思い入れがありますか?

 基本方針として、いつも曲候補を挙げて部員みんなで投票して決めるんです。だから、テーマにそって曲を選んでいるわけではなかったんですが、2部の最後の曲「レ・ミゼラブル」のメドレーについては、元の映画の「主人公が重圧に苦しむ中でも自由を求めて戦い抜く」という感じのストーリーを今の状況に重ねてしまって。コロナの影響で制約が多く、重圧がある状況でも、いちばん最後の「民衆の歌」という曲のように、「一年間よく頑張ったね」、「みんなで気持ちよく歌って締めにしたらいいね」と、解放されて自由になるというイメージを込めています。

――部の伝統をつなぐ難しさや大切さはありますか?

 演奏会などの行事ができないというのもあって、なかなか難しいですね。応援団総部の吹奏楽部なので、応援団と一緒に体育会系部活の応援活動もする予定でしたが、楽器の演奏は飛沫が飛ぶからだめになってしまいました。また、応援団とは別で日本生命の社会人野球の応援活動もしていまして、京セラなどの球場にいってチームの応援団と一緒に演奏していたのですが、それもコロナで二年間できていません。こういう伝統は、後輩に経験させて初めて引き継げるんです。できる限り文章や動画で伝えていますが、伝わっているか不安です。

 でも、依頼活動の方は、社会人野球が球場に応援団を入れていいという方向性になってきているので、来年からできたらいいですね。そのときは自分も支えていきたいなと思います。

――今日の演奏を通して、お客さんに感じて欲しいことやメッセージをお願いします。

 今年去年とコロナでどうしても制約が多い中で、部員もいろいろなことを頑張ったのはもちろんですが、部員の周りの方々、家族や友人にも支えられてきたと感じています。今日招待されている方々に、吹奏楽部からの感謝を伝える機会にもなってほしいですね。演奏を通じて、今年一年間のご協力ありがとうございました、という感謝の気持ちを伝えられたら一番良いんじゃないかなと思います。

――ありがとうございました。

 18時、老若男女多くの観客がホールを訪れました。

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 二時間の演奏会は、静かな雰囲気のメロディーで始まります。次第に増えていく音、軽快になっていく曲調。聞いていると感嘆のため息をついてしまいそうな滑らかなメロディーの曲や、思わず一緒に手をたたきたくなるようなテンポの速い曲などが交互に演奏され、観客は次々に新たな世界へ引き込まれていきました。開演前や休憩中には少ない人数でのメドレーが演奏され、長い休憩も十分に楽しむことができました。一曲が終わるごとに大きな拍手が上がり、二部に分かれたコンサートはそれぞれの曲の色を残しながらもあっという間に過ぎていきます。最後の「民衆の歌」も大迫力で、聞いているこちらにも、まさに空を翔けているような爽快感を与えました。アンコールにもこたえてくださり、終わってももっと聞いていたいと思える、そんな演奏会でした。音楽に詳しくない筆者ですが、その圧倒的な演奏にすっかり心を奪われてしまいました。

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 今回取材をして、神戸大学応援団総部吹奏楽部の魅力の一端に触れることができたのではないかと思っています。演奏への真摯な態度、逆境に負けない強さ、そして部員の皆さんの明るい笑顔とすばらしい演奏。来年のサマーコンサートでも、さらに進化した姿を見られるかもしれないと、もう期待している自分がいます。聞いているこちらにまで元気をくれる演奏会に、ぜひ皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

関連リンク

kobewind.jimdofree.com

記事を担当した学生

  • 文学部 1年 後藤 沙綾