神戸大学学生広報チーム・活動報告

メンバーが取材した神戸大学の情報をお届けします!

【取材報告】出演者が輝ける舞台を~宝塚歌劇団・指揮 佐々田愛一郎さんインタビュー~

今回は宝塚歌劇団のオーケストラの指揮者、佐々田愛一郎さんにお話を伺いました。佐々田さんは神戸大学教育学部(現:国際人間科学部)を卒業後、宝塚歌劇団の指揮者として初めて採用されました。これまで数多くの作品の指揮に携わり、宝塚ファンの間では知らない人はいないというほど有名な方です!

普段はなかなか聞けないお話をたくさんお聞きしました。ぜひ、ご覧下さい!

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学生時代について

――神戸大学教育学部を志望した理由は何ですか?

 学習塾のアルバイト講師を経験して、子供と接することや何かを教えることに興味を持ち、教育系に進もうと思ったのがきっかけです。また、友人から教育心理学という分野の学問があると聞いて、面白そうだと思い、神戸大学教育学部教育心理学科に進学しました。

――サークル活動はしていましたか?

 応援団総部吹奏楽部に所属していました。活動としては年2回のコンサートとアメフトや野球などの応援で指揮をしましたね。当時、神戸大学の先生が近隣の大学の学生を集めて指揮のレッスンをされていたので、そこで勉強しました。

指揮のお仕事について

――学生時代から指揮者を目指されていたのですか?

 音楽は好きで、中学から吹奏楽をしていたのでずっと続けたいと思っていましたが、まさかプロになれるとは思っていませんでした。中学校の先生になって、部活動の顧問として指揮をしながら音楽を続けられたらいいなというくらい。実際に教員試験も受けて、中学校に勤める予定だったんですよ。

――どういった経緯で宝塚歌劇団の指揮者になられたのでしょうか。

 父が歌劇団で編曲の仕事をしていて、そこで指揮者のオーディションがあるから受けてみないかと言われました。プロにはなれないと思っていましたが、万が一オーディションで評価されたらいけるかもしれないと思って、軽い気持ちで受けてみたんです。そしたら、そのオーディションに合格して、正直迷いました。プロになったとしても続けられないと思って。でも若かったですし、冒険してみようと指揮者になりました。それがいつの間にか数十年続けられています。

――宝塚歌劇の“指揮”で特徴的なことは何ですか?

 お客様は生徒(出演者)を楽しみに観に来られてると思うので、彼女たちのよりよいパフォーマンスのために、自分はどういうサポートができるかを念頭に置いています。宝塚の舞台のサポート、縁の下の力持ちという気持ちでやっています。

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ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞-』を指揮する佐々田さん(2018年8月 宝塚大劇場にて)

――様々なジャンルの音楽を演奏していますが、その点での苦労はありますか?

 すべてのエキスパートになろうとすると大変なので、広く浅くいろいろなものを知っておこうと心がけています。普段からアンテナを張って、新しい音楽でも興味を持って聞くようにしたり、テレビのCMやお店で流れている曲でも気になったものはすぐに調べたりしますね(笑) そうやって小さな引き出しをいっぱい持ってるおかげで、どんなジャンルでも対応できるのかなと思います。

 オーケストラのメンバーにも、そのジャンルに詳しい人がいれば、教えてもらうこともあります。自分は何でも知ってると思わずに、いろいろな人の力を借りてやっています。

――忘れられない経験はありますか?

 本番中に感動する瞬間は何度かあります。例えば場面転換で、前の場面で大きな拍手が起こって鳴りやまないとき、次の場面に行くタイミングは指揮者次第になります。そういった場面は責任重大ですが、自分が会場の空気を作っているんだと実感し、指揮をやっててよかったと思いますね。

コロナ禍の舞台について

――コロナ禍で歌劇にも大きな影響がありましたが、その中でどういったことを感じましたか?

 去年の夏に宝塚は再開しましたが、生演奏ではなく録音で公演を行っていました。普段は指揮をしていてできないですが、初日の通し稽古を客席から観て、やはり寂しいなと思いました。他にもそういった声は聞いたので、生のオーケストラでやる舞台を楽しみにしているお客様はたくさんおられるのだと感じました。これからもそれを絶やしてはいけないし、これまで以上に生演奏の舞台を楽しんでいただくために頑張っていかなければいけないなと感じます。

――オーケストラが復活して、オーケストラピットに変化はありましたか?

 これまで通りでの演奏は難しく、様々な対応をすることになりました。楽器配置の間隔を開けるなどの基本的な対策に加えて、パーテーションやカバー等も使用して、ピット内での感染予防対策を強化しながら公演を行っています。

これからの目標

――指揮者としての目標はありますか?

 コロナ禍で録音した音源を使っていたときは、お客様からたくさんのお声をいただき、生演奏の重要性を改めて感じました。生演奏で舞台をすることの大事さや、宝塚ならではのところを突き詰めて大事にしたいですし、そのすばらしさを伝えていきたいです。また、私個人として、ずっと元気に指揮を続けられたらいいなと思っています。

――在学生や神戸大学を志望する高校生に向けて、メッセージをお願いします。

 大学に入って何をしたいかというビジョンを持って進学するのがいいと思います。神戸大学はいろんなことを叶えられる土壌があるので、チャレンジする気持ちを持って、失敗を恐れずにチャレンジしてほしいです!

 


○取材を担当した学生のコメント

 私は宝塚歌劇の大ファンで、何度も拝見している方なので大変緊張していましが、佐々田先生はどんな質問にも明るく答えて下さって、とても楽しくインタビューさせていただきました! 朗らかに話される中でたくさんのことを学ばせていただきました。これからの学生生活でも活かしていきたいです!(中尾)