今回取材したのはAdTAS(アドタス)。神戸大学で活動している広告研究会であるAdTASが、広告研究会の全国大会Adfes2017で3位となる銅賞を獲得しました。今回は、代表を務める甲南女子大学3年生の井上真莉奈さん、神戸大学発達科学部2年生の橋本和真さん、同国際文化学部2年生の山田弓宇樹さん、関西学院大学4年生の栗田靖也さんの4名に、AdTASとはどういう団体なのか、またAdfes2017について伺いました。
――—AdTASの普段の活動について教えてください。
AdTASは、普段3つの活動を主に行っています。1つ目が、マーケティングコンペティションやビジネスコンペティションなどに出ることです。2つ目は、クライアントワークといって、他の団体からロゴやフライヤー制作の依頼を受けることです。最近では、「Social Campus」という団体のロゴや、「灘チャレンジ」のフライヤーを制作させていただきました。最後に、3つ目は、週に一回のミーティングで勉強したいことを共有して、部内学習をしています。もともとは広告制作の技術や知識がなかったのですが、入ってから、団体内で勉強したり、自分で勉強したりしました。
――—AdTASという名前の由来について教えてください。
Adは、Advertisement(広告)の意味もありますが、自分たちのなかではAll Designという意味も含んでいます。よい広告を制作するためには、広告を作成する私たちと消費者がコミュニケーションをとることが大事です。AdTASのAdには、そのコミュニケーションを含め、私たちの活動すべてがDesignであるという意味を込めています。また、AdTASのTはThink(考える)、AはAct(行動する)、SはShare(共有する)を表しています。Think→Act→Shareの流れは、広告を制作すること以外にも、すべてのことに通ずると考えています。HPにより詳しく書いているので、そちらもご覧いただければと思います。
――—Adfesとはどういった大会ですか?
Adfesは、活動の1つとして申し上げましたように、広告コンペティションの大会です。全国の広告研究会が一堂に会して、ひとつのクライアントの課題に対して広告を考え、それをクライアントが評価して一番を決めます。
――—Adfesに出ることになった経緯を教えてください。
AdTASは、もともとAdfesで優勝することを目的として作られた団体だからですね。
――—今回のAdfesの課題について詳しく教えてください。
今回のAdfesのクライアントは、原子力環境整備機構(NUMO)という企業でした。現在、高レベル放射性廃棄物をどう処分するかという社会的な問題があります。高レベル放射性廃棄物は核のゴミと呼ばれていますが、それを日本のどこかに地層処分しなければならず、そのためには自治体の合意が必要ですが、その合意があまり取れておらず、またその問題自体が認知されていない状況です。そういうことを踏まえて、今回のAdfesでは、「全国の方に、核のゴミ問題に関心を持っていただき、自分事として考えていただける企画・コンテンツを作る」という課題に応えるために、広告という手法を用いてどのようにアプローチしたらよいかを考えました。
具体的には、政府のデータやアンケートから、この問題がどれくらい認知されているのかを調査して分析したり、メンバーとこの問題について議論したりすることで、課題へどのようにアプローチするのかを探りました。また、広告といえば、一般的にはプロモーションをイメージしがちですが、社会問題にアプローチする広告は当たり前のものなので、他の社会問題が広告によってどのように解決されたかという事例からヒントを得ることもしました。
いろんな事例からアイデアが出てきましたが、メンバー同士で価値観に違いがあり、その中のどれを採用するかが難しかったです。
――—具体的なアプローチ方法について教えてください。
今回私たちは、「原子力充電スポット」というものを考えました。東京や大阪などの主要都市で行われるイベントブースで、核のゴミを模した充電スポットを置き、この問題について特に知らないであろう若者に問題の周知を図るというものです。
この充電スポットでは、充電をするごとに核のゴミが溜まっていき、そのゴミがいっぱいになると充電が止まってしまう仕組みになっています。いっぱいになると、モニターにNUMOのキャラクターが表示され、電気の使い過ぎで充電が止まってしまったこと、電気を作るために穴を掘ってほしいことを伝えます。すると、スマートフォンで穴を掘るゲームが始まり、ゲームをクリアすると再び充電することができます。ゲームを楽しんでもらいながらも、核のゴミを埋めることを疑似的に体験してもらいます。
――—AdTASの今後の目標を聞かせてください。
AdTASの全体の目標としては、AdTASの理念である「さきがけ」を達成することです。メンバー一人ひとりが人よりも先駆けていける存在になってほしいです。 また、Adfesに関しては、来年金賞(優勝)を目指します。
――—最後に、神大生に何か一言お願いします。
広告に興味がある人、深く考えることが好きな人、1つでも人に負けないものを持ちたい人、ぜひ入ってください!
◯関連リンク
◯取材を担当した学生のコメント
広告という手段を用いて社会課題の解決を目指すということが驚きでした。取材では、広告制作に対する熱い思いが伝わってきました。