今回取材したのは、台湾からの留学生。法学部博士課程前期の劉子安(リュウズーアン)さんと、法学部交換留学生(特別聴講生)の許佑鴻(キョユウコウ)さんの二人です。
――—神戸大学を選んだ理由を教えてください
劉さん:僕は労働学を専攻しているのですが、台湾の大学の時に指導していただいていた教授が神戸大学で勉強していたので、その縁で神戸大学に決めました。現在は、その台湾の教授がお世話になっていた大内先生のもとで勉強しています。
許さん:私は自分の大学と提携を結んでいた大学の中で、専門にしていた環境法をしっかり学ぶことができる大学が神戸大学だったというのが大きな理由です。環境法を専門的に学べる大学が少ないので、大学を選ぶ際は少し困りました。
――—神戸大学のいいところ、もしくは残念なところを教えてください
劉さん:神戸大学は山の上というのもあってとても静かで、研究向けだと思います。ただその分、通学がしんどいというのもありますが(笑)。後、驚いたのが、ご飯を食べるところが大学生協が運営している食堂しかないことです。台湾の大学の食堂は、普通のチェーン店が入っていて、より学生を集めようと、メニューや値段を試行錯誤しています。競争が激しくて、1年しか営業しなかった店もあるほどです。日本でも私立の大学では、スターバックスなどが入っているところもありますよね。神戸大学も考えてみてはどうかなと思います。
許さん:神戸大学の皆さんは、僕たちに対してすごく優しいと思います。特に法学部の教務係には何回もお世話になっています。後、六甲台の図書館はすごくきれいですね。学生が勉強できる態勢がととのっているなと感じました。
――—神戸大学は、リュウさんの仰るように山の上にあるので、通学にバスを使う人が多いですが、阪神御影、JR六甲道、阪急六甲の、どのバス停も朝はいつもいっぱいですね。朝の渋滞を改善する方法とか、ないですかね…。
劉さん:僕が一つ思いつくのは、タクシーと提携することですね。神戸大学の各キャンパスに行くタクシーを確保して、乗り合わせで4人揃えば出発していくといった仕組みです。4人で乗れば値段もバスとそんなに変わらないし、快適かなと思います。ただ場所の確保やタクシーを使う一般の方への配慮とか、問題はたくさんありますが…。
――—台湾の魅力について教えてください
許さん:物価が安いですね。さっきの話とも通じますが、タクシーがすごく安くて、値段がバスと変わりません。後、夜市にはおいしい食べ物がそろっているので、是非行って欲しいです。
――—日本の大学生についてどう思われますか
劉さん:台湾の学生はほとんど遅刻しないので、授業が始まってから教室に入ってくる学生が多いのには驚きました。また、傍聴生が少ないなと思います。台湾の大学では全然異なる学部でも興味のある授業に出ていたので、そういう人が少ないのには驚きました。
許さん:劉さんが言ったように、私も日本の学生に遅刻が多いのは驚きました。ただ、期末試験の前の授業は人が多くなるといったのは台湾でも同じです(笑)。後、台湾の大学では普通に飲食OKだったので、この間、ある授業でパンを食べていた学生が怒られていたのにはびっくりしました。
――—僕は来年就活なのですが、日本の就活の仕組みについてどう思いますか?
劉さん:日本の就職制度は不思議だと思います。新卒一括採用で、しかも大学4年生の時に就活しなくてはいけないという制度は、就職のための大学になってるといった印象を受けます。
許さん:台湾では、大学をまず卒業してから就職するので、学生はみんな自分の研究にかなり力を入れて取り組みます。また、大学の力を借りなくても自分の強み(資格など)を生かして就職できます。
――—日本への留学を考えている人へアドバイスをお願いします
劉さん:日本語試験だけを受けて満足するのではなく、色んな言語の勉強をしてほしいです。点数ばっかりを気にするのではなくて、自分が自信をもって踏み出せるレベルまで頑張って欲しいです。
――—これからの予定を教えてください
劉さん:まず専攻している労働法の修士論文を頑張りたいと思っています。将来的には教授になりたいと思っていますが、これから考えていきたいとも思っています。不安はたくさんありますが目の前の論文をしっかりやりきりたいです。
許さん:私は留学は今年の9月までで、そこで論文を書いて一度台湾に戻ります。まだ考え中だけど、もう一回環境法を学べる大学に行きたいと思っていて、今度は正規の学生としてまた日本に戻ってきたいと思っています。
◯取材を担当した学生のコメント
経済学部3年 前田 真我
お二人とは、共通の友人を通して以前から繋がりがあったのですが、改めて色んな話題をじっくりと話せたのはいい経験になりました。今度、友人も交えて日本酒を飲みに行く約束をしているので、そこでもじっくりと話せたらなと思います。二人の活躍を楽しみにしています。