国際教育総合センター(以下、CIE)では外国人留学生のための支援などが行われています。今回は神戸大学の元留学生で、現在はCIEで留学生向けプログラムの企画や留学生の支援などを行っている、サミナさんを取材しました。コロナ禍での支援の在り方や、短期間の日本語・地域理解講義である「神戸日本語プログラム 1月セッション2021 Discover the Kobe Area and Japan- Australia つながり!」(通称:冬プログラム)についてのお話を伺いました。
――CIEではどのようなことをされているのですか?
私は、「冬プログラム」という日本語日本文化冬期講習の企画運営を中心に行っています。これは2020年に始まったもので、オーストラリアの学生に対して提供されている3週間の日本語と地域理解に関する集中講座です。他には、簡単な翻訳やネイティブチェック、留学生向けのビデオ資料のナレーションなどを行っています。
――冬プログラムでは具体的にどのようなことを行っているのですか?
CIEの齊藤先生主体のプログラムで、1年目は対面での活動でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でそれ以降はオンラインで行っています。日本に来たいと思っている学生が対象となっているので、なるべく神戸に来ている状況に近い体験を提供できるようにと考えました。そのためオンデマンド資料による講義はなしで、ライブで行うということにこだわりました。
内容は大きく分けて日本語に関するものと、地域理解に関するものがあります。日本語の授業は1日3時間行います。2時間を全員参加でセオリーを学ぶ授業、残り1時間をチュートリアルとして1クラス4人で学んだ文法を実践し練習する時間としました。
地域理解の授業は1回2時間で6回行いました。
まず1回目は旧居留地のウォーキングツアーで神戸の街並みを、2回目は有馬温泉を紹介しました。有馬温泉では、神戸大学の元留学生の方で、歴史ある有馬という地で旅館を受け継ぎ伝統を大切にしながらも、VRの温泉体験やzoomで芸妓さんとの交流など斬新な活動をされている方のお話を伺いました。
3回目は阪神淡路大震災について、CIEの朴先生にお話しいただきました。朴先生は震災の当時神戸にいたので、身近な体験談として語ってくださいました。
4回目は私の経験談や日本政府が行っている企画、奨学金制度についてお話ししました。また、川崎重工業が行っている水素発電についても紹介しました。資源はオーストラリアから輸入し、日本で発電技術の開発を進めているもので、面白いつながりですよね。
そして5回目は水道筋商店街を、6回目は沢の鶴の酒造を紹介しました。海外の人は日本酒に興味を持っている人も多いんです。
その他、落語家の桂福丸さんによる英語のパフォーマンスや、スパコン富岳についてのバーチャルツアーなど、盛りだくさんのプログラムとなりました。日本語授業と地域理解授業の他にも、神戸大学の学生と参加者の学生が自由に話せる交流会を週に1度行いました。そこでの出会いから、交流会以外にも交流を続けていた学生もいるようです。
――冬プログラムについて今後の課題はありますか?
アイデアはたくさんあったのですが、3週間という時間の制限がある中で、オーストラリアの学生はやはり神戸の学生との交流を求めているので、もう少しそういった場を設けられたらと思います。また、今回は私がカメラを持って街を紹介したのですが、神戸の学生にやってもらうと面白いのではと考えています。様々な年齢やバックグラウンドを持つ方に、神戸を紹介してもらえたらいいですね。
――これから留学生支援についてどんなことを行いたいと考えておられますか?
日本に来ることができていない留学生との関わりもあるのですが、いま日本に来ている留学生もいます。しかしオンライン授業で外に出られず、日本にいる意味が見いだしにくくなっているので、そういった学生ともっといろいろなことができたらと考えています。学外になるかもしれませんが、せっかく神戸に来ているので、連れ出して神戸の街を見てほしいと思います。
〇取材を担当した学生のコメント
魅力的なプログラムが行われているということを知ることができました。今回お話を伺うまでこのような留学生向けのプログラムがあるということを知りませんでした。学生同士の交流を持ちたいということだったので、多くの人がこのプログラムについて知って関われるようになると良いと思います。海外での経験の魅力を感じたので、私自身も留学について前向きに考えたいと思いました。(三木)