神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】第14回 深江祭~新たな船出の年~

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大阪湾を望む神戸大学深江キャンパスにて、2017年5月27日(土)と28日(日)の2日間にわたって海事科学部学園祭「深江祭」が開催されました。今年は神戸開港150年、海事科学部創基100周年という節目の年にあたり、「新航」という統一テーマのもとで、海事科学を研究しているからこそ発信できる体験・発見によって、多くの来場者を魅惑的な海と船の世界へ引き込みました。模擬店、ステージなど様々な見所がありましたが、今回は、深江祭のいたるところにあった素敵な体験の中からいくつかを紹介し、深江祭、そして海や船とそこに関わる人々の魅力についてお伝えしたいと思います。

「海事科学部」と聞いてすぐに思い起こされるのは、やはり「海洋や船の操縦について学ぶ学部」というイメージではないでしょうか。深江祭では、海と船を身近に感じる工夫を凝らした体験乗船が行われました。海事科学研究科の練習船「深江丸」や、ヨットである「クライナーベルク」号とJ/24、カッター、伝馬船など、動力や乗船人数の異なる5種類の船の乗船会が用意されていました。こういった船に無料で乗船できる機会というのは珍しく、どの体験会も盛況だったようです。

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クルーザーヨット「クライナーベルク」号

五つの体験会のうち、私はクルーザーヨット「クライナーベルク」号の体験乗船に参加させていただきました。沖までエンジンで船を動かし、ある地点からセール(帆)を使って揚力のみで前進、方向転換などを行なって、元の場所まで帰るという1時間40分ほどの乗船体験でした。体験参加者全員で右舷と左舷を行き来しバランスをとったり、目の前でセールの操作を見られたり、海と風を全身で感じたり・・・。おそらく深江祭に来なければ一生できなかった貴重な経験をすることができ、終わった後もしばらく興奮がおさまりませんでした。ヨットを遠くから眺めた時に受けるゆったりとした可愛らしい印象は、ヨットの上でせわしなく動き、先生の指示に従い協力しながらロープワークをこなすクルーさん達を見ると一変します。小さな船は、乗組員全員が協力し、危険な状況を回避するために行動しながら前進しているのだということを、その楽しさと同時に強く感じました。

深江祭は「海に望むキャンパスで行われる」ということだけでなく、「大学ならではの企画が充実した学園祭である」ということもまた一つの特徴です。つまり、船やヨットの乗船体験だけでなく、船を動かすための仕組みや知識をいかにして得ているのか、また海事科学部で行われている研究の一端も垣間見ることができるのです。

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ナビゲーションシュミレータ

深江祭2日目、28日(日)には、いくつかの研究室・実験室で海事科学に関する実演や実験に用いる機材の公開が行われました。どの研究室・実験室も興味深く珍しいものばかりでしたが、中でも「船舶運行シミュレータ」は、子供から大人まで楽しめる体験でした。船橋を模した空間で海面や視界の状態、気候や潮流など船の航海状態をシミュレートする「ナビゲーションシミュレータ」と、コンテナ船の機関プラントを模した空間で主機関・発電機・ボイラーなどの動作をシミュレートする「舶用機関プラントシミュレータ」を両方体験でき、実際の航海で、船橋と機関室がどのように連携、操作して海上を安全に航行しているのかということがリアルに再現されていました。どちらのシミュレータのスペースでも揺れや振動、音まで体感できるようになっており、大変臨場感あふれる新鮮な経験に、参加者は全員心を奪われていました。船橋と機関室との通信は体験会の担当の方々がされていましたが、とても素早く正確で、個人の専門的な知識と経験、そして双方の信頼関係が成り立っていなければできないことのように思われ、これから船の汽笛の音を聞くたびに外観ではなく内側のことが頭に浮かぶのではないかというほどに強く印象に残りました。

2日間の学園祭は、サンシャイン池崎さん、Aマッソさん、どきどきキャンプさんを出演者に迎えたお笑いライブのステージが終わった後幕を閉じました。深江祭を堪能した多くの来場者が笑顔のまま帰っていくのを見て、神戸大学にはこんなに素晴らしい学園祭があるのだなと嬉しく思いました。海の上、船の上で作られる人と人との繋がりや、自然の力強さを身近に感じられる学園祭はそう多くはありません。文字では一部しか伝えられませんので、深江祭の魅力の全貌はぜひ実際に足を運び、肌で感じてほしいです。今年一つの節目を迎えたこの学園祭のこれからを、次の年、また次の年と見に行ってみてはいかがでしょうか。

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深江丸と深江丸からの眺め

○取材を担当した学生のコメント:

文章:文学部2年 小林 優奈

「私は、今回の取材で初めて深江祭を見に行きました。ここまで面白い学園祭であるとは露知らず、キャンパスカレンダーを見て、「へえ、こんなのあるんだ」としか思わなかった昨年度の私に、「なんと勿体無いことを!」と、深江祭の楽しさを力説したいほどです。とにかく、一度足を運んでみてほしいのです。そして、私の拙い文章では伝えきれない、海と学びの底なしの魅力を、全身で体感してください。ご高覧ありがとうございました。」

写真:経済学部3年 杉岡 祐依

神戸大学の深江祭だからこそ体験できる深江丸・クライナーベルクの乗船など、海事科学部の魅力がぎゅっと詰まった学園祭でした。同じ神戸大学でも、キャンパスが違えばたくさんの新しい発見がありました。数多くの催し物を満喫しながら、海について学び、楽しめる深江祭をもっと多くの方に知ってもらいたいです。」