神戸大学学生広報チーム・活動報告

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金井先生のリーダーシップ持論12ヶ条とその説明文

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まず、持論の各項目は、あえて、非常に短い表現にして、そのかわり、説明文を項目ごとに作成したという形になっています。記録を調べてみると、何度か初期の持論に改訂を重ねて、この形にしっかりと落ち着いたのは、2012年の6月でした。その1年数ヶ月後(2013年11月)に、持論の各項目に簡単な説明文を作成しました。これをいま、自分がリーダーシップを発揮する場面での基軸として活用しています。

1.描く

大きな絵(あるいは地図)と最初の第1歩を含むビジョンや、できれば大きな絵、また、それを踏まえ、どこまでいくか、どこから入るか、を描く;少なくとも、語るに足る中身をまずリーダー自身が素描する

2.語る

聞いてから絵を描く、聞きながら絵をともに描くというのもあるが、ほんとうにするべきこと、したいことと、その至る最初の一歩は、まず、リーダーが自分で考えて、それを基に語り、そこから皆の意見を聞き出す。それで、順序が、描く、語る、聞くとなっている

3.聞く

さきに、聞くこともしつつ、描いたことを語ったあとは、それ以前とは違うレベルで、各自の思いを聞く、違いを議論するために、さらに聞く、必要に応じて、聞いたことから描き直し、語り直すことはいとわない

(2013/11/04 コメント、エドガー・シャイン先生の、Humble Inquiryを読んで、順序は、3の聞く、をいちばんにする、ということもありえると、気づかされた)

4.試す

実際に行動に移して、その絵、地図に沿って歩き始める

(2013/11/04 試すには、上司が部下を試してるというときの、やや陰惨なニュアンスが、若い人に響くとしたら、「試す」より、「第一歩を踏み出させる」という意味での短い言葉を探す)

5.見本を示す

試すと似ているが、実験的に歩き始めたあと、この方向に皆が来るように、描いた道、語った道を歩く見本、手本を示すという意味でのwalk the talkを実施する

6.引っ張る

歩みを前から引っ張るイメージで鼓舞する

7.後押しする

歩みを後ろから押すイメージで鼓舞する

8.ねじを巻く

あきらめそうになったり、元気が失せていたりするようなら、明るく元気を取り戻すように、ねじを巻く。ときには、必要なら厳しいこともいう−−金井は常にこれが苦手ということを自覚している。ねじを巻きに行くと自分も疲れる

9.ともにやり抜く

実行プロセスは、短期決戦のときも、長期的課題のときも、ともにやり抜く気持ちを大切にする

10.褒める

やり抜くプロセスのプラスの強化positive reinforcement

11.育てる

ともに歩むひとたちが、最終的には自ら絵を描きそれを実現できるように、さらには、ともに歩んでくれたひとたちが、つぎの旅は、自らのリーダーシップの旅にできるように、育てていく

12.相談に乗る

臨床心理学者、カウセンラーのような耳と心をもって、リーダーシップの全行程をマインドフルに歩む

(2013/11/04コメント 門下で後継者の鈴木竜太さんが、日経賞を受賞するまでの、私の指導者としての行動は、この12点からみて、けっして十分ではなかった。とくに、10が少なかったと内省)


金井先生へのインタビューの本文はこちら

【Professor~神大の流儀~Vol.1】経営学研究科・金井壽宏教授(後編)