神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】神戸大学から始まるSDGs<前編> ~ウォーターバーとマイボトルでリユース・リフィルに挑む~

 日本で4台目。5月30日、本学において新たな実証実験がスタートした。

 

 この度、神戸大学日本コカ・コーラ株式会社ウォーターサーバー「ボナクアウォーターバー」のオペレーションテスト(実証実験)を開始した。設置場所は、鶴甲第1キャンパスにある、神戸大学生協国際文化学部店の店内である。ボナクアウォーターバーの設置は、日本コカ・コーラ株式会社の本社、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの社員食堂、タイガー魔法瓶株式会社の社員食堂に続いて、日本で4台目となる。

 使用方法は、再利用可能なボトルを購入または持ち込んで、生協の店舗でウォーターバー利用料金を支払うだけ。マイボトルを持ち込んだ場合、一回の給水を60円で行うことができる。また、ボトルを利用しない場合、備え付けの紙コップを使用し70円で給水もできる。

ボタンを押すだけで給水できる。料金は前払い制。

 また、魅力はウォーターバー本体だけではない。ウォーターバーの真横に設置された洗浄機では、機械に押し当てるだけでマイボトルを洗うことができ、ウォーターバーの利用者であれば誰でも給水前に利用することができる。

洗浄機はマイボトルにも対応している。

 このウォーターバーは、容器のリユースに関する実証実験のために、神戸大学に設置されることとなった。

 今回、ウォーターバーの導入にあたって尽力された、神戸大学安全衛生コーディネーターの柴田信雄さんにお話を伺った。(取材日:2022年5月31日)

安全衛生コーディネーターの柴田信雄さん
――ウォーターバーで購入できるのはどんな水ですか?

 強炭酸水・弱炭酸水・常温水・冷水・お湯の5種類から選んで購入できます。すべて値段は給水1回あたり60円と変わりません。

――ウォーターバーで給水できるマイボトルの大きさに制限はありますか?

 給水可能なボトルかどうかは、ご自分のマイボトルの高さを、ウォーターサーバーの扉のイラストでご確認ください。扉に描かれているマイボトルの枠線の高さまでが安全に給水していただけるサイズとなります。

神戸大学生協 国際文化学部店のレジ左手に設置されたボナクアウォーターバー(写真右)とステンレスボトル回収箱
――このマイボトルリサイクルプロジェクトはどのように始まったのですか?

 タイガー魔法瓶株式会社が行っていた、ステンレスボトルのリサイクル活動に参加することになったのが始まりです。ステンレスボトルは年間1千万本ほど日本市場に出されていますが、使用後のステンレスボトルは今まで不燃ごみとして扱われてきました。タイガー魔法瓶株式会社はステンレスボトルの製造企業としてステンレスのリサイクルを進める活動を行っており、そこからリユース・リサイクルにも取り組むことになりました。昨秋、タイガー魔法瓶株式会社から神戸大学とリサイクル活動を一緒に実施したいとお申し入れがあり、それを機にSDGs推進室にマイボトルリサイクルプロジェクトが発足しました。

 一方、学校での実証実験先を模索しておられた日本コカ・コーラ株式会社に、本プロジェクトを始め神戸大学SDGs活動に興味を持っていただき、ウォーターバー設置のお話しをいただいて、【ステンレスマイボトルリサイクル】と【リユース可能なマイボトルによる給水サービスの提供】という二本柱で本プロジェクトが始動しました。

――どうして神戸大学で実証実験を行うことになったのですか?

 先ほども申し上げたように、神戸大学が積極的にSDGs活動の情報を発信していた積極性が評価されたと伺っています。また、SDGsへの関心が高い学生さんの多いロケーションで実証実験を行いたいという希望にマッチしたことも理由のひとつです。

――ウォーターバーの設置で目指すところは何ですか?

 リユース可能なマイボトルを含む容器の利用の習慣化を目指しています。日本人のマイボトルの所有率は80%ほどと言われていますが、実際にマイボトルを日常的に使っている利用率はその数字を10%以上下回ります。使用しない理由としては、かさばる・重い・リフィル(再充填)する適当な施設がないといったことが挙げられていますが、手軽にリフィルできる給水サービスを提供することで、マイボトルの利用率がどう推移するのか、リユース可能なマイボトルの携帯の習慣化や、給水サービスの普及にはどの様な課題があるのかを探るためにウォーターバーで実証実験を行っています。

――実証実験はどのように進めるのでしょうか?

 ウォーターバーの導入後、まずSNSを活用するなどをして、ウォーターバーの認知度を高めていきます。その後、アンケート等をお願いして情報を収集することになると思います。実験の一環として、ウォーターバーの無料券などのインセンティブも必要だと考えています。大学内への設置ということで主な利用者が大学生となり、Z世代とも呼ばれる次世代を担う人たちの動向や考え方を知ることが出来る実証実験結果が期待できそうです。同じように、ステンレスボトルリサイクルに関しても、どうしたら多く回収できるかなど、実証実験を通して学生の意見を聞きたいと思っています。まだ活動はスタートしたばかりなので、これからが実証実験の本番だと思います。

――ステンレスボトルのリサイクルはどのように進めるのでしょうか?

 同じようにステンレスボトルリサイクルに関しても、まずはそういった活動を大学でやっていることを知ってもらうことが重要となります。一度、専用の回収ボックスを何店舗かの生協売店に設置しましたが、その箱の目的を十分に認知してもらっていなかったので、一部はゴミ箱化してしまったなどがあり、一工夫が必要だと思っています。

 第3クォーター開始までには、生協さんにPOPの掲示などの作成を協力していただき、「ここに持ってくれば不燃物で捨てていたステンレスボトルが再利用できるんだ」ということを多くの学生・教職員に知ってもらうようにしていきたいと思っています。

 まだ活動はスタートしたばかりなので、一つずつ問題を潰していく模索の時期かと思っています。

 

 このようにスタートした「ボナクアウォーターバー」やステンレスボトルリサイクルは、神戸大学SDGsに関する取り組みの一環である。神戸大学では近年、SDGsに関する取り組みが盛り上がりを見せているのにはお気づきだろうか。その中心にいるとも言えるのが、「神戸大学SDGs推進室」の存在である。企業や学生を巻き込み、産官学連携を目指して活動するSDGs推進室とは一体どのように歩んできた組織なのか、記事の後編でその実態に迫っていく。<後編へ続く>

 

<うりぼーグッズ 待望の新商品発売!>

神戸大学公式キャラクター「うりぼー」の新グッズが、ボナクアウォーターバーの導入と連動して7月1日に発売された。ラインナップは、水から温かい飲み物まで入れることのできるステンレスボトルと、炭酸飲料にも対応した保冷専用ステンレスボトルの2種類。気になるうりぼーの柄は、神戸大学広報課Twitterで事前に行った投票の結果選ばれた、「泳ぐうりぼー」。本体の色はさまざま用意されているが、数に限りがあるため早めのゲットをおすすめする。神戸大学生協で販売中。

 

 

〇取材を担当した学生のコメント

 今回の取材を通して、神戸大学の中の新たな取り組みに触れ、SDGs関連のさらなる活動に興味を持つことができました。今回のウォーターバーはとても面白い取り組みだと感じており、どのように利用が進んでいくか楽しみです。私も実際に利用してみて、マイボトル洗浄機の便利さ、60円で購入できる量の満足感を味わいました。特別に見せていただいたウォーターバーの販売量から、炭酸水の飛び抜けた人気がよく分かり、ウォーターバーの目玉としての魅力になりうるのではないかとも感じました。しかし、実際に取材を通して、料金の支払い方や学生への周知など、課題も見えてきました。このウォーターバーの設置は実証実験であるので、様々な面から見た課題を受け止め、どのように改良し実用化へつなげていくのか、これからも注目していきたいと思っています。

 また、記事の後編で触れる「神戸大学SDGs推進室」の活動について、取材前はほとんど知らなかったものの、興味の湧く活動が見つかり、参加してみたくなりました。SDGsに関する神戸大学の最前線を覗ける取材になりました。ぜひ後編もお楽しみに。

(取材・記事担当 海洋政策科学部2年・佐伯)

 

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