神戸大学の未来を語るシンポジウム、シンダイシンポ。昨年からスタートした、神戸大学ビジョン発信プロジェクトの一つです。大学職員の方のお話によると、このネーミングには「神大をどんどん盛り上げていこう」という思いが込められているとのこと。2年目となる今年は、どのような会になったのでしょうか?
神戸大からのビジョン発信
まずは、武田廣学長によるご講演です。武田学長は、普段の授業でも脱線にこそ面白さがあるということで、3つの「余談」をお話しくださいました。
1.文学に描かれた感染症について
カミュ『ペスト』における風評被害や感染者への社会的な誹謗中傷が、現在のコロナ禍と通じるというご指摘でした。「人の心の中にあるペスト」にも目を向けなければいけないと感じました。
2.創造的休暇について
ニュートンがリンゴの木を眺めているうちに万有引力を発見したと言われているように、巣ごもり状態でも、漫然とすごすのではなく、思考を続けることで、何らかの創造の機会となると説かれました。また、ペスト流行時、労働力人口が減ったことで印刷技術が生まれたことを例に挙げ、不足がイノベーションの源泉になる可能性を示しました。
3.進化論的考察について
天然痘は、二本鎖が互いに相補的なDNAで、増殖の際、コピーでミスをしても修復が容易なため、病原体が安定しています。そのためワクチンが効きやすく、撲滅できました。一方、新型コロナウイルスは一本鎖のRNAなので、変異が起こりやすいとのことでした。厄介なこのウイルスですが、今後のワクチン開発の展開に期待です。
現在、コロナ感染者が短期間で指数関数的に増加しており、「緊急事態」と認識されています。神戸大学でも、withコロナ時代の社会構築に向けて、人文・人間科学、社会科学、生命・医学、自然科学の分野で50~60の提案研究が打ち出されました。しかし、1年、10年単位のスケールでみると、地球温暖化に関しても、同様の危機的状況にあるとのことです。長期的に物事を見る目も大切なのだと考えさせられました。
本内容は、神戸大学バリュースクールから3月頃に発行予定の『価値創造の手法』で読むことができるとのことです。楽しみですね。
神戸大の統合報告
次に、職員の方から、統合報告書のポイントについてお話しいただきました。内容は、統合報告に取り組んだ経緯、2020年版の紹介、財務戦略、シンダイシンポ2020についてです。
ところで、報告書の表紙には、カラフルな図形が並んでいますが、この現代的な抽象絵画のようなデザインは、実はある文字を表しています。白い部分に注目してみてください。“KOBE”が見えてきませんか?
ページをめくっても、内容を視覚的に分かり易くする工夫が随所に凝らされています。気になる方は、ぜひこちらからご覧ください。
ダイアログ(対話)~神戸大と価値創造 コロナ禍での挑戦~
続いて、2名のステークホルダーの方々にご講演いただきました。タイトルは「デジタルトランスフォーメーションによるイノベーション」および「外部から見た価値創造と発信のイノベーション」です。その後のパネルディスカッションや質疑応答も、大いに盛り上がりました。詳しい内容は、ぜひYou Tubeの動画をご視聴ください。刺激的な議論の中に、新たな気づきが得られるかもしれません。
おわりに
本シンポジウムを通して、神戸大学が未来に向かって邁進していることが伝わってきました。そして、企業や行政、一般の方、そして学生の私たちも、神戸大学のステークホルダーであることを知り、自身も大学の一員であることを改めて実感することができました。
関連リンク
- 統合報告書