神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】JR元町駅、新しい待ち合わせの場“元町泊(もとまちのとまり)”

今年の4月に、JR元町駅前に新しい待ち合わせスポットが完成しました。その名も、“元町泊(もとまちのとまり)”。神戸市が「JR元町駅東口前まちなか拠点整備イメージ提案」としてデザインを公募し、多くの応募の中から神戸大学工学研究科建築学専攻・遠藤研究室の学生のデザインが採用されました。このプロジェクトに参加した塚越仁貴さん、山本修大さん、楠満葉さん、米倉良輔さんの4名にお話を伺います。

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撮影者:緋田昌重

――—デザインを応募したきっかけを教えてください。

塚越さん:去年の4月に神戸市のFacebookでデザイン案の募集の記事を見て、神戸で建築を学ぶ学科・研究室として、是非応募しようという話になりました。研究室で三つのチームを作ってそれぞれ案を提出し、そのうちの一つを最優秀賞に選んでいただきました。研究室では、今までにもこういったデザインの公募にエントリーしたことがありましたが、元町駅のような有名な場所でのプロジェクトで、しかも実際にデザインしたものを建ててもらえたのは初めてのことです。

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撮影者:緋田昌重

――—デザインのコンセプトを教えてください。

山本さん:電車から海と山が見えるというのが神戸の街のイメージとしてあったので、その両方を使いたいと最初に考えました。“元町泊”は、上からは神戸港の波の形を、正面からは六甲山の山波をイメージさせるデザインの、階段状のベンチです。デザインの条件として、30人ほどが座れるものを考えなければならなかったので、一段だけではなく複数段積み重ねた形にしました。

――—先生からのアドバイスはありましたか?

塚越さん:基本的には学生が主体となって考えたのですが、研究室の遠藤先生は建築家として実際に多くの建築作品を実現して来られた方なので、デザインの指導や助言、アドバイスをいただきながら作っていきました。

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元町泊の模型

――—実際に“元町泊”が完成するまでに苦労したこと、印象に残っていることを教えてください。

楠さん:提案したデザインがそのまま建てられる訳ではなく、みんなが使いやすいものになるよう様々な調整をする必要があり、元のデザインと実際に建つものとの整合性を取っていくのが大変でした。

山本さん:予算や安全面への配慮など多くの解決すべきポイントがある中で、自分たちのコンセプトを理解していただき、可能な限りそのコンセプトを実現できるよう、何度も神戸市の方とイメージの共有や意見の交換を行ってきました。

――—元町泊のアピールポイントを教えてください。

山本さん:座るところが一段だけじゃないというのが、このベンチの特徴です。段が複数あることで、大人数で来たときでもみんなで一緒に座れるため、談笑の場になります。ただ座るだけの場所ではないというところを、実際に使って感じてもらえればいいなと思います。

米倉さん:大人数でも少人数でも、それぞれがスペースを見つけて座ってもらえるのではないかなと思います。

――—回りの人から、なにか感想はありましたか?

米倉さん:神戸出身なので、ベンチを見た友達が声をかけてくれました。JR元町駅にはもともと、地元の人に「だっちゅーの」とよく呼ばれている像(※)があったのですが、ベンチの設置に合わせて移動したことで、目立つようになって嬉しいと言ってもらえたり。また、ベンチの写真を撮ってもらったりしたのも嬉しかったです。

楠さん:学生が実際にデザインしたものが建つのは珍しいので、インスタなどのSNSを使ってこのベンチを告知した時に、友人からすごいねと言ってもらえました。親が見にきてくれたりもしましたね。

山本さん:今回のように、他にもネットニュースや神戸市の広報の方から取材をしてもらったりと反響があったのも嬉しかったです。

(※女の子が二人並んで前かがみになっている姿の「見つめる女の子」の像)

――—この元町駅のプロジェクトで、今後も研究室として何か関わっていくことはありますか?

山本さん:これからベンチの奥の苗木が育って緑が多くなりますし、神戸市の方と夜、照明をどのようにすれば良いかなど話し合いをしているので、このプロジェクトも引き続き進んでいきます。

塚越さん:せっかく神戸で建築を学ばせていただいているので、遠藤研究室だけでなく神戸大学建築学科としても、より神戸の街づくりやデザインに関わっていく機会が増えていくきっかけとなればと思っています。

――—最後に一言お願いします。

楠さん:もっと神戸大学の学生のみなさんにこの場所を知っていただきたいなと思います。

塚越さん:多くの人が通る駅前に変わったデザインのものが建つというのは、まだ日本ではあまり例がありません。少し前まで三宮にあったパイ山(阪急神戸三宮駅北側「さんきたアモーレ広場」)のように、神戸の人にとって愛着のある場所になって欲しいです。20年、30年とこの町はどんどん変わっていくと思いますが、その中で長く愛される場所になってくれるといいなと思います。

――—ありがとございました。

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撮影者:緋田昌重

今回は実際に元町駅へ行き、現地で取材することができました。当日も、幅広い年齢層の方が待ち合わせや休憩に利用しているのを見かけました。元町泊の魅力を紹介したリーフレットもありますので、見かけた際には手に取って見てみてください。まだ行ったことがないという人は是非、近くに来たら寄ってみていただけたらと思います。大切な人との良い憩いの場になるかもしれませんよ。

◯関連リンク

◯取材を担当した学生のコメント

システム情報学研究科1年 梶 晃子

同じ神戸大学として、とても誇りに思いました。イメージしたものを実現させることの難しさや楽しさを知ることができました。