神戸大学学生広報チーム・活動報告

メンバーが取材した神戸大学の情報をお届けします!

【神大うりぼー誕生記念企画・うりぼーのここが知りたい!Vol.4】うりボーロード~元工学研究科長の視点編

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Vol.3の事務職員の方々のお話中、繰り返し出てきたとある先生のお名前。どうやらその先生は、うりボーロードだけを計画したわけではないらしい…。うりボーロードだけじゃなく、それにまつわる全てをもっと詳しく知りたい!学生広報チームは、ロード設置当時の工学研究科長(現:神戸大学名誉教授)・森本政之先生を取材すべく、先生が現在いらっしゃる(※1)男女共同参画推進室へ行ってきました!

(※1:取材当時。2018年3月末で退職されました。)

うりボーロード計画

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森本政之先生

――—うりボーロードの設置は、自然科学総合研究棟3号館(以下、3号館)の建設や、広場の緑化など、あのエリアの整備計画の一部だったのでしょうか?

正確に言うと、それぞれは別々の計画でした。別の計画なんだけれど、3号館の建設とうりボーロードの設置は、時期を合わせて実施されました。広場の緑化計画というのは、時期も全く別なんです。

――—えっ、そうなんですね!

3号館は工事を第1期(平成12年8月~平成13年11月)、第2期(平成13年3月~平成14年6月)に分けて半分ずつ作っていったのですが、その第2期に合わせてうりボーロードは作られました。第2期の終わりと、うりボーロードの完成が一致しています。この2つの計画は、予算が違っているんですね。3号館は文部科学省からの予算で、うりボーロードは、神戸大学の独自予算で作っているんです。そして、そこからおよそ10年後、平成23年3月に広場の緑化が完成しました。

――—平成14年に3号館とうりボーロードができ、平成23年に緑化。

緑化の方は、工学研究科の独自予算で行いました。工学研究科の運営会議で承認を得てね。その時に提案したのが、当時の工学研究科長の私だったわけです。

――—森本先生が、緑化計画を提案されたんですね。

はい。ちなみに、広場の芝生をよく見たことはありますか?

――—よ~く、はないです。

よ~く見ると…あれは、クローバーと芝生がミックスされているんですよ。本当は全部芝生にしたかったんだけど、そうするととんでもないお金がかかるので、この形になりました。ちょっと遠目で見ると、緑だから一緒なんだけども(笑)。当時、神戸市内の小学校で、校庭をクローバーで埋めようという運動もあってね。それにちょっと乗っかったみたいなところもあります。

――—なぜクローバーなんでしょうか?

クローバーは強いんですよ。

――—なるほど!

それに、みんな馴染みがあるし。暇だったら、四つ葉のクローバーを探したりできるでしょ(笑)!

――—確かに、幸せになりそうですね!あの広場すごく素敵なのですが、なぜ緑化を提案されたのでしょうか?

あそこの広場はね、君たちが神戸大学に入学した時にはもう緑地だったでしょ?それ以前は、土だったんですよ。

――—全面、土ですか?

そうなんです。もっと詳しく言うと、あの広場の所は谷だったんですよ、昔は。

――—えっ!谷!?

神戸大学がこの六甲地区に来るまではね。神戸大学がここに来たのが昭和37年ごろでしょ?それまでは谷だったんですよ。そこを埋めているので、広場には土だけ。工学部の食堂は、谷の上に建っているんです。

――—え~っ!知らなかったです!

もちろん僕も、谷だった頃の様子は見たことないけどね(笑)!埋立地だから、長いこと雨が降ったら泥まみれになるんですよ。端にちょっと舗装したところがあるんだけど、そこ以外を雨の日に通ると、ぐちゃぐちゃになる。それで、なんとか綺麗にしたいなというのがあったのね。幸いお金が少しあったから提案したら、皆さん賛成してくれたんです。

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緑化エリア、芝生とクローバー

元工学研究科長のなやみ

――—ロードの名前は公募されたと伺ったのですが、どうやって選ばれたのでしょうか?

いくつか案はあったのだけど、神戸大学というのはやっぱりイノシシなんですよ。あのね、ちょうど20年くらい前に『探偵ナイトスクープ』の小ネタで「神戸ではイノシシが信号待ちをしています」というのがあったんですよ。

――—(笑)。

その様子を実際に放送していて。そんなこともあるくらい、神戸特に六甲はイノシシが身近なんです。

――—根付いているんですね。

そうそう。実際集まった案を見ても、やっぱり来たかって。それで、名前を「うりボーロード」にしました。こんな風に愛称をつけたり、当時の事務員の人に看板を作ってもらったりしたのは、せっかく作ったのに皆あまり通ってくれなかったからなんですけどね。

――—車が危ないので、ロードを使って欲しいんですよね?

そうなんですけど、なかなか通ってくれないのが悩みですね。工学部にあるセブンイレブンの方がパワーが強いのかなぁ(笑)?セブンイレブンや食堂を過ぎて、先端膜工学センター前の広い道の方を通るのは仕方がないとして、その突き当りに階段があって、うりボーロードに行けるようになっているんですよ。この道を通って欲しくて、また歩道をキチっと作ったんです。こうやっていろいろ工夫をしてみたけど、それでもやっぱり行かないね(笑)。何でかなと思うけど…距離が変わらへんからかな(笑)。

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広い道と突き当りの階段

工学部キャンパスのひみつ

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工学部D棟

森本先生:経済・経営・法学部のキャンパスは綺麗だけど、工学部ってちょっと前までは工場みたいなものでね。なんとかキャンパスを綺麗にしたいでしょ?

――—確かに六甲台第1キャンパスは素敵なんですけど、私は工学部のキャンパスの雰囲気がすごく好きです。

森本先生:耐震工事をするまでは、ひどかったんですよ。耐震工事の時に少し工学部の方からもお金を出して、綺麗にしたんです。今は洒落た感じになっているでしょ?建物の周りがガラス張りになっていたり。あの建物の屋根、見たことあります?あの上、太陽電池パネルになっているんですよ!

――—え~、そうなんですか?知らなかったです!

森本先生:耐震補強工事の時、エコの観点から、屋根に太陽電池パネルを付けようかという話になって。けれども普通の太陽電池パネルを付けると下に光が入らないので、せっかくガラス張りにしているのにちょっとそれはどうかなと。だけど、「カネカ」製の商品に光を通すのがあると分かって、それを付けることになりました。だから、あの屋根はちょっと遮るけども一応光は中に入ってくる。発電した分で、工学部の事務棟の照明くらいは賄えるようになっているはずです。

――—学舎の耐震工事というのは、どういった計画だったのでしょうか?

森本先生:公的な建物は全部耐震化して、マグニチュードの大きい地震に耐えなければならないんです。だから文部科学省が全国の大学に対して予算を出して、耐震工事をどんどんやっていって。

ちなみに、耐震工事でせっかく綺麗にできたものを、今度は長持ちさせなきゃいけないから、工学研究科の壁にはビラ等を貼らないようにお願いしました。テープをはがすと、壁などの塗料も一緒に剥がれるでしょ?そうするとすぐボロボロになってしまうので。でもそうすることで表現の自由を侵してはいけないので、掲示板を作ってそこ以外は貼らないとか、テープで貼るのではなく立て看板を立てるとかして、キチっと掲示するようにお願いしました。それは今も続いていると思います。

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同席されていた工学部の事務職員さん:そうですね。例えば会議室の所とかには、壁に掲示物を差し込むものがありますよね。差し込んで、終わったらそのままピッと取り出せるようになっているんですよ。

森本先生:そうそう。各教室も全部ひっくるめて、バインダーのようなものを壁に取り付けてあるんです。よく会議などをする時に、「受付」とかって張り紙があるでしょ?あれを、そのバインダーに挟み込めるようになっています。

――—へ~、すごいですね!!それは、工学研究科の建物の中だけのルールですか?

森本先生:そうそう。このように守っていけば、いつまでも綺麗なはずですよ。当時事務のみなさんに言ったのは、「自分の家だと思ってください。自分の家でみなさんは、セロハンテープでべたべた壁に貼りますか?」ということでしたね。あれから8年くらい経つけど、守られている?

工学部事務職員さん:そうですね、今でも守られています。

――—ちなみに、広場の方を綺麗に保つ工夫は何かされていますか?

森本先生:草が伸びたら刈らなければならないから、事務の方が草苅の手配をしてくれているのではないかな?まぁ、何年緑化している所が持つか。さっそくバリアフリーの工事で緑化部分が小さくなりつつあるでしょ?今作っているのはエレベーター?

工学部事務職員さん:ですかね?今工事で何かできつつありますよね。

(※注:取材当時は工事中でしたが、自然科学系図書館側から工学部への通路として、広場にエレベーターが設置されました!)

――—小さくなりつつあっても緑地は今後も残して、ずっと素敵でおしゃれな工学部であって欲しいです。本日はありがとうございました!


※森本先生に、取材当時に先生がコーディネーターを務められていた「男女共同参画推進室」についてもお話をお聞きしました!

是非合わせてご覧ください!


◯取材を担当した学生

  • 文章:発達科学部4年 船越 茉莉
  • 写真:経済学部4年 杉岡 祐依

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