神戸大学学生広報チーム・活動報告

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【取材報告】修了生に聞く!法経連携専門教育プログラムの魅力

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神戸大学は2009年、法学部と経済学部が連携し、両学部に所属する教職員・学生が参画し、学部を横断した教育研究活動プロジェクト「エコノリーガル・スタディーズ(Econo-Legal Studies:ELS)」をスタートしました。そして2010年には、この教育活動の一環として「法経連携専門教育プログラム(Econo-Legal Studies Program;;ELSプログラム)」が開講されています。狙いは法学・経済学双方の知識と見方を身に付け、現代社会の問題を解決する力を有する学生を養成すること。ELSプログラムは、両学部2年次以降の学生が履修でき、3年次の修了までの2年間を共に学びます。

今回、ELSプログラム4期生で、2015年度卒業生の堀晋暢(あきのぶ)さん(法学部)、紅野匡紀(こうのまさき)さん(同)、水浪愛巳(あいみ)さん(経済学部)、薮内真穂さん(同)に、プログラムの魅力、実情など話を伺いました。

広報誌「風」vol.07「KOBE教育」でも、当プログラムについて取り上げていますので、是非ご覧ください。

法学部・経済学部の講義をたくさん受講し、熱い議論を展開!

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薮内さん

――ELSプログラムのカリキュラムは、特定科目の相互履修と演習で構成されると伺いましたが。

薮内:そうです。履修生は、両学部の開講科目から指定された科目を選択し履修します。演習では労働や知的財産といった特定のテーマを選択し、外書を含む文献の輪読や議論、プレゼンを通じて知識・技術を高めます。2年次からゼミ形式の授業に参加でき、討論やプレゼンのスキルを高められるのは、ELSプログラムの魅力です。

水浪:論文も2本執筆します。1本は3年前期にテーマごとのチームで執筆する共同論文、もう1本は3年次後期に修了研究の成果を表す修了論文です。初めての論文の執筆が卒業論文という学生も多いなか、ELSプログラムでは早くから経験できます。

堀:修了論文を執筆する際、両学部からそれぞれ指導教員が当てられます。ELSプログラムを通じ双方の学部の先生とつながることができ、希望者は3年次から経済学部生が法学部のゼミに、法学部生が経済学部のゼミに所属することもできます。

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堀さん

――ELSプログラムの履修生は、両学部あわせて1学年十数人程度と少人数なようですね。

堀:そもそも1・2年次は少人数での授業が少ないため、ゼミが始まるまでは学生同士の議論の経験は少なく、先生との関係が希薄な学生も多いと思います。少人数であるため、同学年のみならず先輩・後輩とのつながりも生まれます。演習や論文の執筆では先輩から指導を受け、私たちは後輩にアドバイスをしました。

薮内:ELSプログラムは両学部から多様な学生、多様な専門の先生が参画されています。履修を通じ学生同士互いに刺激し合い高めあうことができ、また先生方による議論を間近で見られることも注目すべきところ。学生と先生方との距離が近く、時に厳しい指導もありますが、それに応える面白さはあります。しだいに大抵のことでくじけなくなります。

法学的、経済学的視点の違いに驚き

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紅野さん

――ELSプログラムを通じてどのようなことを学び、今後どのように活かしていきたいですか?

堀:私は法学部ですが、例えば最低賃金の規制のように、法学的には正義や公正が必要です。一方、法学では経済学で着目される合理性や効率といった点を、あまり気にしません。履修を通じ学問による考え方の違いを知り、幅広い知識・思考を受け入れることの大切さに気づきました。

紅野:法学は人間本位で主観的のように思えますが、経済学は数理的手法をはじめとした客観的思考を重視します。私は法曹を目指しており、こうした客観的な方法により実証することの重要さを学びました。

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水浪さん

薮内:履修を通じ、専門が異なり共通認識が異なる多くの先生・学生の方々と接することができ、相手の考えを汲むことの大切さや、自分の主張を伝える工夫の大切さを学びました。私は民間企業に就職しますが、こうしたスキルは社会に出てこそ生きてくるものだと思います。

水浪:私も民間企業に就職します。例えば経理の仕事は、会計はもちろん法律の知識も必要であるように、実務ではいくつかの学問分野にまたがる知識・技術が求められます。履修を通じ幅広い分野を学べたことは、これからの自分にとって強みとなると思います。

新しい人、考え方に出会える場

――ELSプログラムはどんな学生におすすめですか?

薮内:私は当初、議論が苦手で先輩や先生方の間に切り込めずにいました。議論やプレゼンのスキルを伸ばしたい、また学部にとらわれない幅広い知識を学びたいといった学生さんにおすすめです。

水浪:履修を通じ学問の面白さに気づきました。1・2年次はどうしても受け身の授業が多くなりますが、これに物足りなさを感じている学生さんには、ぜひともおすすめ。まだまだ改革途上のプログラムですので、自分たちでよりよい学び方ができるようにに変えていきやすいです。

紅野:目的や問題意識はことさら必要ではなく、むしろ先生方がヒントをたくさん示してくれます。「法・経済学部に入ったけど、これからどうしたいんだろう」といった学生さんは、履修を考えてみてはいかがでしょうか。

関連リンク

○取材を担当した学生のコメント:

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農学研究科博士課程前期課程2年 鈴木 淳

「取材した4人は、学際的な研究に意義を見出し、履修を通じて得た知識・技術を活かして更なる躍進を遂げようと意気込みを語ってくれました。これはとても大切なことです。学術の成果を実際に社会に役立てていく上では、分野横断的な協同が求められます。是非、他学部においても同様の取り組みが導入されることを願います」